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セブン

セブン

SEVEN/SE7EN

126

hick

5.0

グロサスペンスが苦手な自分でも大好きな作品

【自分にとって傑作である理由】 数々の映画でオマージュとして名が上がる作品。過度のグロテスクホラーや濃過ぎるサスペンス物は精神的な余裕が無いとメンタルがやられてしまう『かよわい』自分が、今作に限っては不謹慎だがワクワクしながら見てしまう。それどころか幸せにも近い感覚(笑)。これだけでも自分にとっては今作が傑作である理由。 【面白さ】 七つの大罪を追いかける展開は、より興味が湧いた要因のひとつかもしれない。次はどんな標的でどのタイミングで、など待ち構える面白さがあった。身近な"罪"を罰していく犯人の「サイコパスの中にある哲学」にも興味が湧く。被害者たちを見て、この人物はこういう罪か?と想像するのも面白い。ちゃんと答えあわせもある。中でもやはり「嫉妬」と「憤怒」の使い方は素晴らしい。その「線の結び方」は想像を超えた。初見時に、角度を変えれば死者の人数も…と気づいた時には、ニヤけてしまった(笑)。 【ダブルミーニング】 劇中で言及があったようにダンテの「神曲」を引用した展開だが、自分は全く知識が無いのでネット解説にお世話に。順序を経て天国へ行く者、悪魔を自身の魂に受け入れてしまった者。そんな二重に隠された意味合いが鳥肌モノ。 【荒れた舞台】 雨が止まない荒廃した街。見かけは普通の街だが、一歩路地に入れば汚いディテール。そこに住んでいる人々の見かけと中身のギャップを表しているかのよう。 【カッコいいカメラワーク】 手持ちで撮影された緊迫するシーン。ブレ感やグルっと人物を追いかけるショットには心拍数が高まるのはもちろん、物語の疾走感も感じる。特にミルズが銃を突きつけられているアップショットが好きだった。スローがかった雨粒や銃の先でボヤける犯人の姿。ちょっとカッコいい。 【ズンズンする音楽】 ハワード・ショアの音楽も素晴らしい。「ズンズンくる」ような緊迫感と不穏な雰囲気。その「ズンズン」のフェイドインも絶妙。 【熱いキャスト】 なんと言っても脚本や演出と同じぐらい素晴らしいのがキャスト陣。これが「幸せ」に感じた大きな要因かもしれない。ブラット・ピットの危険な熱さとモーガン・フリーマンの渋さの対比がたまらない。銃を片手に部屋を覗き込むフリーマンのアップショットがカッコよすぎる。そして、ケビン・スペイシー。彼はこういう感じの役をやるために生まれて来たのかと失礼な事を思ってしまう程、毎度のようにケビン・スペイシー。(最上級の褒め言葉)。 【関係無い事思い出した】 好きすぎるミルズとサマセットのバディ感。そこで久しぶりに見返してみて、ふと思い出してしまったのが、本広克行監督が「踊る大捜査線」も今作をオマージュしていると語っていた事。そんな事覚えていなかったのに、モーガン・フリーマンを見ていたらどうでもいい情報が蘇ってきた(笑)。でも確かにフリーマンは上品な渋さ、いかりや長介は情が溢れる渋さで、通づるものがある。 【総括】 罪を見過ごす世の中に「無関心ではいれなかった」という犯人。一方そんな世の中に反して、罰を下すことに熱いミルズ。その関係性と、銃とは無縁だったサマセットの退職を目前に控えた悲劇がいつまでも心に残る作品。消して胸クソでは無く、余韻が続く。本当にグロサスペンスが得意じゃ無い自分が好きになった時点で、傑作の証明だと思う。

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