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ユリシーズの瞳 (1995)

TO VLEMMA TOU ODYSSEA/THE LOOK OF ULYSSES/ULYSSES' GAZE

監督
テオ・アンゲロプロス
  • みたいムービー 78
  • みたログ 213

4.33 / 評価:72件

深い哀しみをたたえた重厚な秀作

  • ポルティ さん
  • 2019年1月8日 12時19分
  • 閲覧数 309
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

アンゲロプロスが「映画誕生100年」という節目への想いと当時惨状を極めていたバルカン半島への想いを融合させて描いた叙事詩のような秀作。
バルカン半島を中心にした7カ国で9ヶ月に渡って撮影されたという大作だが、ワンカット長廻しという監督の美学が冴え渡り、深い抒情と悲哀をたたえた重厚な映像が観る側に迫ってくる。
難解さが代名詞のように語られるアンゲロプロス作の中で比較的取っつきやすいのは、ある種ロードムービー的な通俗性のあるストーリーラインになっていることはもちろん、ハーヴェイ・カイテルという映画ファンにはお馴染みの顔が出ているからというのは大きいだろう。
アンゲロプロスとハーヴェイ・カイテルという驚きの取合せは意外だが、監督の懇願でオファーされたというカイテルが終始哀調で深みのある見事な演技を見せてくれる。彼自身が東欧移民の二世という出自を持つだけにこの役に自らの両親の苦難の半生を投影し、自然と役に入り込めたと語っているから、彼のキャスティングの妙は必然であったということだろう。巨匠の眼力の高さはさすがとしか言いようがない。
アンゲロプロスに興味はあっても敷居の高さを感じて敬遠している人は、本作か「霧の中の風景」あたりからの入門を是非お薦めしたい。
この巨匠の作風に合うか合わないかは観てから判断すれば良い。確実に言えるのは、食わず嫌いなままスルーしておくのは一番もったいないと言うことだ。

余談
ハーヴェイ・カイテルが本作の次に選んだ出演作が本作とは対極以上の作風の開きがある超B級作「フロム・ダスク・ティル・ドーン」というから恐れ入る。アンゲロプロスからタランティーノまで、高尚の極みから低俗の極み(笑)へ、ジャンル不問で何でもこなせるこの人は本物のプロフェッショナルだと思う。これまでの功績も考えると、アカデミー主演男優賞に最も近くて最も遠い「無冠の名優」と言えるが、そろそろあげても良い時期だと思うなあ。

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