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KILLER/第一級殺人 (1995)

KILLER: A JOURNAL OF MURDER

監督
ティム・メトカーフ
  • みたいムービー 9
  • みたログ 63

3.05 / 評価:20件

ずっと逃げてきた…

  • kor***** さん
  • 2013年5月30日 1時17分
  • 閲覧数 964
  • 役立ち度 5
    • 総合評価
    • ★★★★★

誰しも人生において“運命の映画”は何作かあるはずです。

映画好きを豪語して十年以上経ちますが、良作を観賞した感動よりも、時に作品と自分とのめぐり合わせに何か赤い糸のようなメランコリックな気持ちにさせられる事は皆さんあると思います。タイトルしかり、内容しかり、意外にも私にとってこの作品がそうなのです。

今でもお世話になっているレンタルショップの場所は、今では国内最大手のレンタルショップになってしまいましたが、その昔は名も聞かないようなマイナーレンタルショップでした。まだ映画好きとまで呼べなかった私はそこで映画の数々に出会うのですが、ミステリーやホラーに疎い自分にインパクトを残した作品がまさにこの作品なのです。古びたビデオ(当時DVDはありませんでした)パッケージがより恐怖心を駆り立て、主演のジェームズ・ウッズの冷酷な視線。名の通り単純に「恐い」とだけ思い借りれなかったウブな私(笑)いや、誰も借りている所を観た事もなかったのですが。

それから数年が経ち、ビデオからDVDへと時代が変化し、店自体も国内最大手に変わった後もなお、なぜかこの作品は置き続けてありました。勿論誰か手にとっていたり、貸し出し中の所も観たありませんでした。いつか観てみよう、と心に決めてもなぜか手に取らない作品。何から逃げてきたのか理由もわからずのまま時は過ぎ、ふとしたきっかけは唐突に家に帰って来た姉のレンタルバックの中に忍び込んでありました(血って恐ろしい)



どうでもよい身の上話はさて置き、レビューを始めましょう。


実在した犯罪者カール・パンズラムがユダヤ人看守ヘンリー・レッサーと出会い、人生の最期までをドキュメンタリータッチで描きます。製作指揮はあのオリバー・ストーン。主演は演技派ジェームズ・ウッズ。所々に脚色を入れているにしろ、物語にメリハリを付けつつ、ハイクオリティーに仕上げた実話犯罪モノに感動すら覚える佳作でありました。

心優しい看守が世間から疎まれやすいユダヤ教であったという点もミソであり、なおかつ宗教観の違いによって米国内でも死刑制度について昨今も騒がれている様に普遍的な要素も含んでいる点がリアリストであるオリバー・ストーンらしいです。

刑務所が犯罪を抑制する場ではなく、憎悪を増幅する場になっていることに警鐘を促し、所内で行なわれる看守の暴力、差別、賄賂の数々。稀代の殺人者をも「変われる」と信じている看守ヘンリーと、逃避の繰り返しであった己の最後にたどり着いた先はこの世の中から、そして自分自身からの逃避であったと悟るカール。

物語の終盤、ヘンリーはカールの助言通り看守を辞め、家族と食事をする前の祈りでこのようなことを言います。「私達の先祖は羊をいけにえに捧げ、その血を戸口に塗り、死の使いから男の子を守った」告白自体どこからどこまでが真実かわかりません。ただ信じる気持ちや、差し出す手を失っては、それこそこの世は混沌となってしまうのではと問いただし、汚れた金に集る人々は、出所を探ろうともしません。なぜこのような犯罪に手を染めたのか?民衆はその動機よりも結末しか知ろうとしなかったのです。


余談:「サム・ペキンパーに捧ぐ」とエンドロールに記された経緯はいくら調べてもわかりませんでした。これは推測ですが、もしかすればこの稀代の犯罪者の内面をペキンパーも描きたかったのかもしれません。

詳細評価

物語
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