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エルム街の悪夢/ザ・リアルナイトメア (1994)

WES CRAVEN'S NEW NIGHTMARE

監督
ウェス・クレイヴン
  • みたいムービー 2
  • みたログ 110

3.89 / 評価:30件

クレイブンの落とし前

  • カナボン さん
  • 2011年1月31日 22時52分
  • 閲覧数 846
  • 役立ち度 13
    • 総合評価
    • ★★★★★

「エルム街の悪夢」シリーズのレビューも残すところあと2作品、と言っても昨日書かせていただいた通り、「6」にて正式なシリーズは完結しております。まあ最後は何か尻すぼみ気味に終わってしまいましたが、長く続くシリーズものでは珍しいことではありません。
それを受けてフレディの生みの親であるウェス・クレイブン監督が自らフレディに引導を渡す話を思いついた。そう、やはり人気者をこの世から抹殺するのは、生みの親の仕事であり、資格だと思います。

今日のお題目は「エルム街の悪夢/ザ・リアルナイトメア」です。

一応シリーズ第7作目ということになっていますが、この作品は全く独立した話で、言わば番外編です。1作目のヒロインナンシーを演じたヘザー・ランゲンカンプ、それにフレディ役のロバート・イングランド、ナンシーパパを演じたジョン・サクソンらがセルフオマージュという感じで本人を演じる。しかもそれに留まらず、クレイブンや、ロバート・シェイまでが映画に登場!ある意味悪ノリのような気がしないでもないですが、流石はクレイブンが監督に復帰しただけのことはある、かなりシリアスで1作目に近い感覚を覚えます。

フレディ・クルーガーという夢の世界の殺人鬼を主人公とした異色のホラー映画、「1」を改めてご覧いただければおわかりになるかと思いますが、この映画の命題は現実世界と夢の世界の境界のあやふやさであると思います。つまり夢を見ている間、それは見ている人にとってはまさに現実世界。良い夢であろうと悪夢であろうと、夢を見ている瞬間はそれを夢だとは思いません。何故人は夢を見るのか、ここでそんな哲学的な話をするつもりは毛頭ありません。ただ何が夢で何が現実なのか、それがはっきりわからないこと自体がこの映画が怖く、そして面白い最大の理由だと思います。

クレイブンは見事に伝説の1作目でこれを描き切りました。フレディを自ら葬ろうとクレイブンはこの作品で更にこの命題を推し進めることになる。10年前にナンシーを演じたヘザー、その彼女がかつて自分が演じたのと同じ役割を自分自身として演じることになる。

1作目のオマージュともとれるシーンがわんさか出てくるあたりは、「エルム街」ファンとして嬉しい限り。しかも出演者が10年後の本人たちですものね。ロバートやジョンはさほど変わらない印象だけど、やはり一番ガラリと印象が変わったのはヘザー。まだまだションベンクササが残っていた(ゴメンナサイ・・・)オリジナル版とは比べ物にならないほどのイイオンナ(笑)。やはり「エルム街」の真のヒロインは彼女を置いて他にはいないということを再認識させられます。

一方フレディはかなりキワモノ。肉の削げ落ちた顔面、白骨化した右手、かなりグロテスクに感じます。しかも本作のフレディは今までの作品のようなユーモアさを全く持っておらず、まさに悪一色という印象。

けれどもグロイだけで肝心の恐怖感としては物足りなく感じてしまいます。その最大の理由は、フレディを食っちゃうほど怖いキャラが一人いるから。それはヘザーの息子を演じるミコ・ヒューズ君その人。

まあ突然叫び出すは、家の中を徘徊するは、この子役の演技が実にドキッとさせるのです。思えば彼はこの後、以前にレビューさせていただいた「マーキュリー・ライジング」で自閉症の少年を演じてかのブルース・ウィリスをタジタジとさせてしまったほどの演技派。「ペット・セメタリー」のゲイジ役も合わせ、子役としては個人的にダコタ・ファニングの少年版とさえ思っています。当然現在では子役が出来る年ではありませんが、何故かメジャーな作品にお声がかからない。彼の大人になっての演技、非常に興味あるところなので、是非活躍して欲しい隠れた俳優さんのお一人です。

「シリーズ」としては112分と長尺な作品。それでもクレイブンの演出のキレは鋭さを発揮し、当然ながら冗長さは感じられません。でも「エルム街」、それも1作目が好きでない人から見ると、退屈極まりない映画であることは想像に難くありません。これはクレイブンの彼なりの落とし前の着け方を見届ける作品なのですから。

詳細評価

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