ここから本文です

伝説になった英雄 (1997)

EL CHE/EL CHE - ERNESTO GUEVARA: ENQUETE SUR UN HOMME DE LEGENDE

監督
モーリス・ダゴソン
  • みたいムービー 8
  • みたログ 4

4.00 / 評価:2件

アレイダ=ゲバラ氏、初来日。

  • 晴雨堂ミカエル さん
  • 2008年5月15日 19時29分
  • 閲覧数 112
  • 役立ち度 22
    • 総合評価
    • ★★★★★

 チェ=ゲバラ氏の娘アレイダ=ゲバラ氏は、青年時代の父と同じく医者(余談1)になり、発展途上国の児童の医療に尽力し、キューバの親善使節の役割も担っている。カストロ氏の医療立国政策(余談2)の象徴といっても良い。最近では、アメリカの医療制度を非難したマイケル=ムーア監督「シッコ」にも出演している。そんな彼女が今年(2008年)の5月に来日し、父チェが訪問した広島などをまわり各地を講演するらしい。
 ゲバラの記録映像でみる彼女はまだ幼子だったが、もう47歳だ。目のあたりに父親の面影がある。

 この映画は、彼女の父親の少年時代から遡り、カストロ氏との出会いやキューバ革命時代、政府閣僚時代、そしてキューバを離れコンゴへ転戦、そしてボリビアで処刑されるまでの短い一生を比較的淡々と客観的に描写したドキュメントである。カストロ氏をはじめ、ゲバラ氏と関係した人々のインタビューと貴重な記録映像で構成されている。(余談3)

 子供の頃、初めてゲバラを知ったときは、他の共産主義革命の「英雄」たちと違って政府高官の立場に甘んじず、国連総会で胸をはって革命の最前線で戦い続ける事を表明し、その言葉通りキューバ政府の要職全てを辞して少数の部下とともにボリビアの山中を転戦、捕らえられ40歳前の若さで処刑された生き方に驚愕した。ストイックな姿勢と有言実行、そして私よりもヒドイ喘息もちで、似たようにサイクリングをやっていたことに複雑な感情を持った。

 映画では、一見するとゲバラ氏の高位高官に恋恋としない潔さに見える行動が、内実は政治的な孤立によってキューバを離れざるを得なくなった事情、カストロ氏もゲバラ氏を見捨てるわけではなかったが距離は置きたがっている事情も丁寧に描写されていた。
 またボリビアでの作戦ミスや連携の悪さ、キューバでは風向きが味方していたのにボリビアでは何もかもが向かい風になっている様が痛い。

 いま思うと、やはりゲバラ氏の周囲の人々と同様の感情を持つかもしれない。自分自身に対して冷酷で誰よりも禁欲(余談4)でよく働き、同じように行動することを周囲にも厳しく要求する。尊敬はするが、上司にも同僚にも部下にもしたくない人だ。
 革命戦士の道を選んで果てたがゆえに伝説になったが、キューバ政府からほされたのであれば、医療の道に立ち返り今の娘と同じ活動をやることで「革命」を輸出しても良かったのではないかと思うときもある。

(余談1)アレイダは小児科医。

(余談2)キューバは医療に力を入れており、無償の診察と治療だけでなく、無料かそれに近い学費で医学生を受け入れ医者の育成をしている。国運を賭けての医療立国政策といっても良い。
 今後も維持し続けれるかどうか疑問だが、非常に羨ましい制度だ。多少は日本も見習ってほしい。

(余談3)キューバを離れ、コンゴで活動する髭の無いゲバラや、禿頭の紳士に変装したゲバラの写真も多数紹介されている。

 同様の内容で、映画よりゲバラ寄りの判り易い書にメキシコの漫画家リウスの「チェ・ゲバラ」がある。因みにゲバラ氏はリウスの漫画のファンだった。

 キューバ革命時、20歳前でゲバラたちの部隊に参加し、ボリビアでの闘いにも同行した側近のインタビューもある。記憶違いかもしれないが、手元の資料とはカタカナ表記が少し違うように思った。
 ボリビアに同行したキューバ軍将校の3名は帰国に成功している。

(余談4)ゲバラ氏の明確な「欠点」をあげるとすれば、医者で喘息もちのくせに葉巻を嗜む事か。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 悲しい
  • 勇敢
  • 知的
  • 切ない
  • かっこいい
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ