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シービスケット

シービスケット

SEABISCUIT

141

kak********

4.0

世界恐慌下の米国で人々が夢を託したのは?

原作は、競馬ジャーナリスト出身のローラ・ヒレンブランドの 長編処女小説『シービスケット ある競走馬の伝説』であり、 実話が基になっている。 物語は、1929年10月に起きた世界大恐慌前後のアメリカが舞台。 当時は政府の金融政策による支援もなく25%が失業した時代。 そんなどん底の景気の中で、貧しい人々が生きる勇気を与えられ たのは、名もない競走馬でも一流になれるという夢だったのだ。 競走馬と言えば、日本でも1970年代に「ハイセイコーブーム」と 呼ばれる一大社会現象が起きている。地方競馬出身の競走馬が 中央競馬に移籍し勝ち続けた事は奇蹟に近く、競馬を知らなくても ハイセイコーの名前は知っているほどであった。 しかし、本作品のテーマは”競馬”ではなく、一頭の競走馬が 結びつけた人間の運命と生き様を描いている。 監督は、トム・ハンクス主演の「ビッグ」で脚本を手掛けた ゲイリー・ロスで、本作品では監督の他に製作と脚色も担当して いる。 そして、避けては通れない”競争シーン”は、元騎手のクリス・ マカロンがレース・デザイナーとして参加している他、同じく 元騎手のゲイリー・スティーヴンスが騎手役で映画初出演を 果たしているので、映画とは思えない程臨場感あふれるレースを 観る事が出来る。 主役は、「スパイダーマン」シリーズのトビー・マグワイア。 共演に、待望のアカデミー賞主演男優賞を「クレイジー・ハート」 で獲得したジェフ・ブリッジス。そして「アダプテーション」の ジョン・ラロッシュ役などで渋い演技が光るクリス・クーパーが 脇を固めている。 栄光と挫折。競走馬でも人間でも成功ばかりではあり得ない生涯 において、全く異なる生き方をしてきた3人の男の出会い。そして それを結びつけた一頭の馬の生涯も波乱万丈であり、物語に強く 引き込まれる。 1938年に実際に行われた東部を代表する三冠馬ウォーアドミラルと 西部の田舎馬と思われたシービスケットのマッチレースが、いかに 成立したのか?詳細はDVD特典映像で当時の実況中継が見られる のだが、本作品で再現されるレースも本物と同じ感動が得られる。 改めて、生きる為のエネルギーとして夢や希望が大きな役割を果た しているか再認識させられた映画である。

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