アドルフの画集
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作品情報上映スケジュールレビュー

あらすじ・解説

1918年ドイツ。ユダヤ人の画商マックス(ジョン・キューザック)は、画家志望の青年アドルフ(ノア・テイラー)の面倒を見始める。だが、なかなか才能を開花させられないアドルフは、やがて政治活動に傾倒していく。

シネマトゥデイ(外部リンク)

作品レビュー(16件)

切ない32.3%悲しい12.9%絶望的12.9%知的12.9%不気味9.7%

  • kih********

    3.0

    もし絵描きになってい タラ ? 関係ない!

     妙にリアリティーがあるのだ。だが、これはフィクションだった。もし彼が絵画の道に邁進してい タラ とか、画商とすれ違わなけ レバ とか、歴史に「もし」を言っても仕方ないのに、敢えて タラ・レバ のストーリーを展開させている。  遠い東洋の島国にあって、ヨーロッパの人種問題のことは分かり難い。私のような絵画・美術に疎い者には、芸術的狂気と政治思想的狂気のことも分かり難い。だから、なのかもしれない。あり得ない「もし」の タラ・レバ 話にリアリティーを感じてしまう。  『チャップリンの独裁者』を思い起こす。その強過ぎる衝撃でレビューも書けなかったが、今思えば、チャップリンの タラ・レバ は過去のそれではなくて、直近の タラ・レバ だったのだ。喜劇の中で急きょマジの自分を出してヒットラーの演説をバーチャル演技して見せる。リアリティーが無いはずがない。  『……画集』の タラ・レバ は、ちょっと見には同情さえ生じかねないが、いけないいけない。彼の狂気による犠牲を考えれば、どんな タラ・レバ を想定しても赦されるものではない。  絵画美術に没頭したかった? それが何だ。美術に没頭出来てい タラ? それが何だ。

  • ind********

    2.0

    制作姿勢に疑問

    主人公は架空の人物「MAX」。これが原題。そして極めて大きな歴史的転換点に関わっている・・・・がこの物語は全て架空の物語。 ひとりの画家志望の青年が、現実に存在した20世紀の怪物に生まれ変わる、大きなターニングポイントのカギを架空の人物の架空の物語に任せている点、歴史認識から逃げをうっている制作姿勢が見える。 歴史の真実を推理し想像し創作したのではなく、架空の物語にしてしまうことは、多くの犠牲を払った大戦を直視する西欧の映画人の姿勢としては賛同できない。疑問がある。 なにもドキュメントにする必要はないが、せめて「MAX」は実在の人物であるべきだと思う。 不遇にも画家への道を断念せざるを得なかった、そのうえ陸軍組織維持勢力に利用されたような人として、やや同情の余地があるヒトラーを描くことに、西欧の批判が免れない事情もあったのだろうか。 かなり興ざめな鑑賞感が残った。 しかし、富裕なユダヤ人に対する戦争敗戦国民としての多くのドイツ人の不満を、縮小を拒む陸軍軍部が利用したというのは、事実だろうか。この視点は興味深かったが、なにせ架空の物語なので。 富裕なユダヤ人と貧しい多くのドイツ国民という構図が、現在の多くの豊かな西欧諸国と貧困にあえぐそれ以外の国々という現実と似通って、さらに、イスラム国の台頭がナチスの台頭に重なって、現実の危うさが感じられた。 イスラエル(ユダヤ)は豊かな国で、パレスチナの貧困にあえぐ人たちと強力な軍備で対峙しているが、これも本当はどうなのか。 日本の児童の16%は食事も十分にとれない貧困状態にある、一方でどんどん廃棄される食品をよこに、消費をあおるような企業活動・・・。 かなりどこかが壊れ始めている現実への警鐘としての価値はあったようです。

  • sei********

    4.0

    青年ヒトラーを主人公にしたファンタジー。

     アドルフ=ヒトラーがまだ政治家になる前の青年時代を描いた作品である。といっても、史実に沿ったフィクションというよりは、ヒトラーというキャラクターを使って、もしかしたら画家になる可能性が有ったかもしれないという仮説から創ったファンタジーである。史実との隔たり具合は、明治維新から西南戦争までを描いた「ラスト・サムライ」と同程度なので、時系列は無視している。日本を知らない人間が「ラスト・サムライ」を観たらホンモノの日本近代史と思ってしまうように、青年時代のヒトラーをよく知らない人間が観れば、史実に沿った映画だと思い込むだろう。  物語としては起承転結よくまとまっていたし、主人公を裕福なユダヤ人画商に設定し、未だ反ユダヤ主義に染まりきっていない青年ヒトラーの絵画の才能を見出し(余談1)援助するというシチュエーションは興味深い。主人公に対立する存在として反ユダヤ主義の保守的な軍人が登場し、ヒトラーの演説の才を見出し手放すまいとする。繊細で不安定な精神状態の青年ヒトラーは、両者との葛藤で揺れ動くがラストで決定的な事件に遭遇する。これら相関関係の描写は判り易くて見事だった。また、青年ヒトラー役のノア=テイラー氏の演技は作品の説得力を上げるもので素晴らしかった。  とはいえ、主人公であるユダヤ人画商は架空の人物で、青年ヒトラーを取り巻く状況を観客に解りやすくデフォルメして演出したものである。史実との隔たりを考えたらファンタジーと思ったほうが良いだろう。  この手の映画で私が期待するのは、完全なファンタジーだった。30年以上前にアメリカのSF作家ノーマン=スピンラッド氏が発表された「鉄の夢」は衝撃だった。内容は、ヒトラーが政治家の道へ進まずアメリカへ移住してイラストレーターや小説家として大成し、未来世界で新人類の攻撃を受ける純潔人類の抵抗を描いた「壮大な」SF小説、という設定のもとでスピンラッド氏が架空の小説家ヒトラーになりきって描いていた。私はこの映画化を期待していたし、ファンタジーならそこまで徹底して踏み込むべきだと思っていた。(余談2)  「アドルフの画集」は私も創作活動をやっていた時代によく似たストーリーを考えていて、20年前に「鉄の夢」の翻訳本を読んだときのサプライズが大きかったので私のヒトラー物語案は凡作としてボツにした。  映画史としては平凡な青年だったヒトラーの姿に焦点を当てたことで評価されるのだろうが、私にとっては想像できる内容の映画だったので及第点にしか見えなかった。 (余談1)ヒトラーの絵画を見たことがあるが、デッサン力がずば抜けているとは思えなかった。自慢話ではないが、私も高校の美術であの程度は描けていたと思うし、友人たちはもっと巧かった。中にはデザイナーになったり、ゲーム業界で出世している者もいる。ただ、絵が下手だった人が漫画家になったりイラストレーターになった例も知っているので、「鉄の夢」はありそうな話でインパクトがある。  逆にヒトラーが画家になる可能性は低いし、第一次大戦中は軍隊生活に順応して司令部付伝令として目覚ましい働きをしている。最終的には伍長勤務上等兵に昇進し、兵卒としては極めて異例の第1級鉄十字勲章を授与されている。この勲章は将校たちが襟の止め具あたりに飾っている十字の勲章で、貰えない将校もいる。つまりヒトラーは「充実した」軍隊生活をおくっていて、彼にとってこの勲章は誇りであり拠り所となり、自殺するまでナチの制服の左胸ポケットに取り付けていた。ヒトラーは映画のような自信喪失状態の青年ではなかった。敗戦の報せで泣き叫んだそうだから、もはや彼の関心事は藝術ではなく政治に移行していた。  大戦後は引き続き軍隊に留まり、政治団体を調査監視する代理将校になり、担当の政治団体の1つだったナチ党集会で弁士を論破したことから党議長から歓待され軍を辞めてナチに入党、ほどなく宣伝部長になった。その後の経緯は世界中の人間が御存知の通りである。 (余談2)映画のヒトラーは、たぶん美術大学受験を目指していたリンツ・ウィーン時代のハイティーンから20歳過ぎくらいの頃を無理やり大戦後にもってきた感じがする。ノア=テイラー氏の風貌は第一次大戦後のヒトラーではなく20世紀初頭の頃のものだ。  実際のヒトラーは20代前半頃から髭を蓄え、第一次大戦時には立派なカイゼル髭にしていた。だから映画で髭の無いヒトラーを観たとき、私は白けてしまった。

  • lec********

    5.0

    ネタバレ主人公は「マックス」なのに

    このレビューにはネタバレが含まれています。
  • cws********

    3.0

    小ヒトラーを生み出さないために

    今までのヒトラー観が揺るがされた作品。 ヒトラー=世紀の大狂人と認識していたが、この作品からは、孤独な男が他人から認められたいという、社会的欲求を狂おしく求めた過程が伺える。 当時のドイツの宗教観、ユダヤ人観を知るには格好な教材だ。 ユダヤ人差別はヒトラーから始まった訳では無い。既に中世からユダヤ人は黄色のマークを付けるよう、義務付けられていた。ユダヤ人は一神教を信じ、商才に長けていたために、他の民族から妬まれていた。隣人愛を説くキリスト教さえ、ユダヤ人であるというだけで、魔女(男)として処刑を許していた。 そんな歴史が積み重なり、アーリア人の純血を守るにはユダヤ人の絶滅が必要不可欠なものとして、敗戦に疲弊したドイツ人の心を捉えた。 今もネオナチが存在している訳は、それで説明できるのではないか? ヒトラーは時代に呼ばれ、怪物へ変容していった。 独裁者を許してはいけない。

スタッフ・キャスト

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基本情報


タイトル
アドルフの画集

原題
MAX

上映時間

製作国
ハンガリー/カナダ/イギリス

製作年度

公開日
-

ジャンル