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アドルフの画集

ななぽよ

5.0

ネタバレ2年以上前になりますが

映画館で観ました。 完全に史実とは言えないのでしょうが、アドルフ役の俳優さんが本物そっくりなのもあり、 リアルに感じられ、この映画の世界にぐいぐいと引き込まれました。 切ないです。 一人の、芸術家を志す人間が、「悪魔」へと変貌する過程。 「悪魔」と呼ばれる人も、生まれながらにして「悪魔」だったわけではない。 リア王の戯曲に、誰の台詞かは忘れてしまったけれど、 「人はみな運命に弄ばれる道化でしかない」 というような言葉があったのを思い出し、なおさら切なく、悲しくなりました。 物語のラストで、暴漢に襲われてしまって来るはずのない画商マックスを、期待を込めてスケッチブックを傍らに待ち続けるアドルフ。 カフェの中、刻々と過ぎていく時間のなかで、アドルフは何回、鏡を見て自分の前髪を撫で付けただろう。 この何度も繰り返される仕草に、芸術家アドルフの、やがて絶望に変わる期待がよく表れているような気がして、涙が止まらなかったのを覚えています。

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