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金髪スリーデイズ35℃ (2003)

監督
飯塚健
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  • みたログ 9

3.00 / 評価:4件

一歩間違えれば陳腐の極地、夏はこうあれ

  • achakick さん
  • 2010年9月29日 19時36分
  • 閲覧数 259
  • 役立ち度 4
    • 総合評価
    • ★★★★★

77点


ハッピーげな音楽、カラフル映像、なにが楽しいのかホースで水をまき散らす笑顔の若い女。

地下鉄のホームの駅員は、理由もなく仕事を突如ボイコットしそのまま電車に乗る。

できそうな会社員、葬式帰りの喪服きたままの女、タクシーのあんちゃん、彼らもまた唐突にどこかへ向かう。

シーンは最初の女の子に戻る。
両親の外出を待っていた女の子は、喜びいさんで庭に鏡を持ち出し、ビニールプールに足をつっこみながら髪にブリーチをペタペタと塗りはじめる。

で、田園風景つっきる電車をバックに「金髪スリーデイズ35℃」のタイトル。
この開始五分で自分は無性に気持ちよくなれた。

絵にかいたような夏の中をなんの説明もなく物語が走りだす。論理がないから夏への想いだけが軸になる。

他人同士のみんなは海で出会い、相変わらずなんの理由もないまま意気投合する。

女の子が持ってきたのはたくさんのブリーチ。
彼らは浜辺で揃って金髪にする。
ブリーチを頭にベタベタ塗った老若男女が浜辺でボケッとしてる映像がステキ。
きっと彼らは髪が染め上がる時間を待ってるだけじゃなく、もっと大きなものも同時に待ってる。

金髪になったみんなは「夏」をやる。
自転車で全力疾走したり酒を飲んで花火で盛り上がったり線香花火でしゅんとしたり……。

夏のイメージの羅列にすぎないのに心ひかれるのは、短い間セミが必死に鳴くように、彼らが三日間の間必死に大急ぎで夏をやるからだ。迫っているタイムリミットまでに。

現実生活のほうではフツーの映像。
愉しいことだけを抽出したような非現実的なカラフル映像が、彼らに特別な夏休みを許可する。金髪はその証。

モノクロ映画では不可能のカラー映像ならではの表現、てのは誉めすぎか。

夏の終わりの夜に彼らは夏を語る。
「毎年夏になるとなにかに期待しちゃうんだよね。運命の恋とか冒険とか」

夏だからあれやりたいこれやりたい。全部を叶えてくれる夏なんてどこにもない。
たとえ運命の恋人をみつけてもスリリングな冒険をしても、たぶん満足することはない。
夏が予感させるのはもっと偉大なものだからだ。
真夏の太陽はそのなにかを与えてくれそうでくれない。予感だけを与えて気づけば秋に隠れてる。
だからいつまでも夏に憧れる。

夏好きの監督が勢いにまかせて撮ったんだとか。
陳腐すれすれのところでドライブ感と情感があると感じさせたのはただ単に、自分も夏が好きだからなのかもしれない。

40分と上映時間が短いせいか、彼らが夏をやる時間はあっとゆうまに終わる。
その短さに物足りない思いがする。
が、かえってそこがリアル。
夏っていつもあと少したりないまま終わっちゃうから。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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