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東京原発 (2002)

監督
山川元
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3.74 / 評価:144件

公開情報皆無で上映館探しに苦労

  • dk5******** さん
  • 2021年9月3日 20時28分
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

保険会社の知人によると地震保険料金は地域で差があり、熊本は日本で一番安い地域でした。大手保険会社が専門家たちと各地の地震発生リスクを算定した結果で、近年の被災地はいずれも想定外だそうです。結局、地震の予測は不可能に近いということです。

大物実力派俳優たちが出演しているのにテーマが原発だったため、公開まで2年を要したこの映画。配給会社やマスメディアから敬遠され、ネットが今ほど発達していなかった当時、上映館を探すのに苦労しました。

やっと探し当てた渋谷マークシティの裏手にあった映画館は名前も知らない小さな劇場でした。映画は秀逸なのに観客がわずか5人で、もったいないと憤ったことを憶えています。

原発への関心が薄かった当時の私にはビックリすることばかりでしたが、展開が面白くてゲラゲラ笑いながら鑑賞しました。311以降に改めて観ると、内容の的確さにビックリするばかりで笑えません。

映画公開後、専門家と称する人々から間違いがあると指摘された情報が幾つかありました。その中に耐震強度に関するものがあります。

「地震の加速度(ガル)の測定場所が映画では地表だが、原発は深く掘り下げた開放基盤に建設されている。そこで測定されるガルは地表より危険度が高い数値になる。その数値に基づく高い耐震強度を持つ日本のすべての原発は安全性が確認されている」との指摘がありました。が、この安全性は福島で覆りました。

一方、誤りを指摘されなかった情報は紛れもない事実ということになります。その一部を下記に挙げてみます。

○東海地震を想定した静岡の浜岡原発だけが一般建築耐震基準の3倍の強度で設計されているが、ほかの原発は2倍以下。(ちなみに、福島を襲った地震には3倍以上の強度が必要)

○日本の電気代は世界一高い。産業界はドイツの2倍、フランスの3倍、アメリカの4倍の料金を払っている。

○原発のタービンを冷やすのに大量の冷却水を要するので原子力発電所は海に面している。せっかく作った熱エネルギーの70%を海に放出しており、その温排水が海中の温度を上昇させるため、海中で発生する二酸化炭素の量が半端ではない。

○原発推進の強力な追い風になった70年代のオイルショック。イスラエルに原油輸出停止を宣言したアラブ諸国に対し、原油輸入制限の対抗策をとった親イスラエルのアメリカ。アメリカの要請に仕方なく追従した日本政府は苦肉の言い訳として、根拠のない「石油は30年で枯渇」論を流布した。30年経っても石油は枯渇していないし、その兆候もない。

○使用済み燃料は核分裂させた後の放射性濃度が非常に高い廃棄物。この廃棄物の処理に世界各国が天文学的な金額を投入しているが解決していない。日本も兆単位で投入しているが、これは「経済的」とされている原発コストには含まれていない。

ウランの核分裂やプルトニウムの危険性についての重要な描写がありますが、私には難しくて論理的に説明できません。興味がある方はぜひ映画をご覧ください。

原発に無関心な人々を描いたコメディタッチのストーリーと、危機感がない原発関係者を皮肉ったサスペンスタッチのストーリーが並行して展開され、最後に二つのストーリーが交わり衝撃的な結末を迎えます。原発への無関心、無知と危機感の欠如は何をもたらすのでしょうか。

エンターテイメントとして存分に楽しみながら、原発について考える機会を与えてくれる第一級の作品です。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 笑える
  • 恐怖
  • コミカル
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