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花とアリス (2004)

HANA & ALICE

監督
岩井俊二
  • みたいムービー 737
  • みたログ 4,168

3.95 / 評価:1259件

花とアリス

  • shigeo さん
  • 2007年12月7日 23時58分
  • 閲覧数 1710
  • 役立ち度 57
    • 総合評価
    • ★★★★★

なんで、二人の少女の日常が、こんなにおもしろいんだろう?
女子高生の日常なんて、普通ならバカバカしくて観てられないはずです。
例えば、自分のいつもの通勤電車に乗ってくる女子高生たちの日常を見せられてもつまらないし、下らないと感じるでしょう。
大体、40近くのトシになった男がこんな話をしてるだけで、ロリとか、少女マンガ的だとか、言われるでしょう。
だけど、そういった発想がバカバカしくなるくらいに、今作では、二人の少女の日常が、繊細に、美しく、ピュアに描かれています。
話的には、かなりのありえなさがあるんですけどね。
岩井トーンの美しい四季の映像と叙情的なピアノ曲に乗せて、 ゆっくりと二人の日常が進んでゆく。
それだけなのに、でも、それがたまらなく、いい。
自分は男ですから、当然女子高生としての想い出などあるわけじゃないのに、なぜか昔、自分も同じようなことをしたなぁ、などと錯覚してしまいます。
不思議。
この作品の魅力の一つとして、二人の少女の会話がとても自然に感じられる事が挙げられると思います。
例えば、電車の中での花とアリスの会話シーンなどは、すごく自然で演技を感じさせません。
自然体...それは監督自身が狙った魅せ方なんでしょうが、何気ない二人の会話がとても心地よい気持ちにさせてくれます。
もちろん、自然体を狙ったからといっても演技してるわけで、主演二人の演技力は非常に高いと思います。
その二人に触れる前に、花が恋する先輩について一言。
二人の身勝手な嘘に翻弄され、次第に消耗していく先輩。
物語の最初から影の薄い「マー君」ですが、ストーリーの進行とともに輝きを増していく二人とは対照的に、マーくんは小さくしぼんで消えていきます。
どう見ても花とアリスの言う事がデタラメなのに、落語風のやりとりや二人のかけあいを通じて、次第に二人の少女の言ってることが正当的になってきます。
「マー君」、哀れです。
合掌(死んでないって?(笑))。
さて。
鈴木杏が演じる花。
彼女の先輩に対する不器用さ、必死さが、非常に愛 しかったです。
なんとか、自分の気持ちを好きな人に伝えたいのに上手く伝えられない、好きな人を自分のものにしたいけど出来ない...そんなもどかしさは男女を問わず、誰の胸にも想い出として残ってるものでしょうし、だからこそ、花が不細工に泣き、自分の罪を告白する彼女の姿がとてもいじらしいと感じます。
蒼井優が演じるアリス。
花とバッチリのコンビネーションはコミカルで微笑ましいです。
彼女の透明感のある存在感はさすが、というか見事です。
そして、今作をレビューする人のほとんどが触れるであろう、ラスト近くのバレエのシーン。
「ちゃんと踊っていいですか」。
そう言って、アリスは、スタジオの窓から差す光を浴びながら、 紙コップをトゥシューズ代わりに足にガムテープで巻いて踊ります。
その表現力に圧倒されます。
言葉になりません。
ただ、ただ、素晴らしいものを観せてくれたと感謝するだけです。
その時にしか撮れないであろう、蒼井優という少女の旬の魅力がこのシーンにつまっています。
このシーンを今の蒼井優が演じても全然別なものになると思います。
もちろん、それは悪くなると言った意味ではなく、大人になる過程での、ごく限られた一時期の少女の瑞々しさが今では表現出来ないであろうという意味です。
自分は、蒼井優は、これからの日本映画界を背負ってゆく女優の一人であると思ってますし、表現者として天才だと思ってます。
そんな蒼井優の、今では撮る事のできない一面を、しっかりとフィルム上に残してくれたことを岩井監督に感謝したいと思います。
一つ断っておきますが、自分は単にバレエシーンが素晴らしいと言ってるのであって、広末の言う「パンちら?」に惹かれてるわけでは決してないですからね(どうかなぁ、怪しい~(笑))。
ま、なんにせよ、中にはこの作品はこのシーンに尽きる、というレビュアーの方もいますが、どうして、どうして、他にもいろいろ心に残るシーンがあります。
例えば、アリスが、大雨の中、 黒ずくめでしてる変なダンスなどは個人的には好きですね。
あれって、普通で考えるとかなり異様なんですけど、アリスなら許せるな、と(笑)。
それから、何気ないとこにこんな人が...的なゲストの出演を楽しむ事も出来ます。
ホント、いろんな人が出演してるんですよね、この作品は。
美しい映像の中で描かれている二人の少女の日常。
どこかで見たような作品。
でも、他では観たことのない、なんとも不思議な感覚を抱かせる作品です。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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