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スパイダーマン2 (2004)

SPIDER-MAN 2

監督
サム・ライミ
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3.82 / 評価:1576件

英雄たちの傷だらけの魂への鎮魂歌

神作品である初作の続編ということで、きっと減速するだろうなと予測しながら見た。

安アパートに住んでて、しかも家賃が払えない。
バイトでピザの宅配をする。
コインランドリーでコスチュームを洗濯する。
ビルの屋上で急にスランプになって飛べなくなり、仕方なくエレベータで降りて帰る。
前半は、間抜けなヒーロー路線で笑わせるコメディの様相。
確かにこれほど情けないヒーローは見たことがない。
コメディとしてのセンスも相変わらず洗練されている。
面白い。面白いけど、さすがに初作ほどではないなと諦めかけていた。

が、しかし、そのうち笑えなくなってくる。

ピーターの不遇は、貧乏で生活が苦しいだけではない。
過酷なヒーロー勤務のせいで、私生活が犠牲になっていく。
大学の勉強に響いて、成績は下がるし、教授からは見放される、
ガールフレンドに逃げられたうえに他の男とデキてしまう。
そういう犠牲を払っても見返りはない。
見返りがないどころか、理不尽な逆恨みや心無いゴシップで傷つけられる。
耐えなれなくなったピーターは、ついにスパイダーマンを辞職してしまう。

「ありえねー」「ばからしい」と一笑に付すだろうか?
とんでもない。
責任のある、しかも激務の仕事に就く者にとって、これは極めてリアルな現実物語である。

国を憂い国の将来のために一生を殉じる指導者。
家族や祖国のために死地に向かう兵隊さん。
市民の命を守るため自らの生命を危険に晒す警察、消防士の職員。
多くの社員の生活を預かり激務をこなす経営者。

彼らは、傍目には勇ましそうに見えたとしても、心の内側では決して穏やかではない。
危険に対する不安。精神的なストレス。結果責任に対する重圧。
内面では、日々悶え悩み苦しみ、ギリギリの葛藤のなかで踏ん張っている。
感謝もされず、ときに中傷を受け、その見返りの無さがバカらしくなって、普通の生活に戻りたくもなる。
「もういっそのこと、やめてしまおうか」と弱気になることもある。

生命をかける英雄たちを苦しめるのは、物理的な傷だけではない。精神的に受ける魂の傷が最も苦しく痛いのだ。

ドックオクに襲われた電車をスパイダーマンがぼろぼろになって止めた後、市井の人々が彼に対して暖かい支援を贈ったシーンに至っては、感動して泣けてきた。

やはりやられた。初作とはまた違ったところで、「スパイダーマン2」もやはり超名作だった。
英雄の、外面の華やかさではなく、内面のすさみにフォーカスを当てるとは。

本作は、悶え苦しみ葛藤しながらも人々のために、身を殉じていった英雄たちへの鎮魂歌(レクイエム)だ。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 泣ける
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