ここから本文です

エレファント (2003)

ELEPHANT

監督
ガス・ヴァン・サント
  • みたいムービー 297
  • みたログ 1,841

3.80 / 評価:354件

解説

全米を震撼させたコロラド州コロンバイン高校の銃乱射事件に衝撃を受けた、『誘う女』のガス・ヴァン・サント監督入魂の問題作。彼は世界に向けて「なぜ?」と問い続ける。素人の高校生の実体験から真実の言葉を引き出した本作は、2003年のカンヌ国際映画祭で史上初のパルム・ドールと監督賞のW受賞という快挙を果たした。“あの事件”の脆くて傷つきやすい少年達の日常がリアルで切ない。静かだが強い衝撃を残す最高傑作だ。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

オレゴン州ポートランド郊外の高校。ジョン(ジョン・ロビンソン)はアル中の父親のせいで遅刻し、イーライ(イライアス・マッコネル)はカメラ片手に公園を散歩。いつもと同じ一日のはずだったが……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

「エレファント」どこからか小さなノイズが聞こえてくる

「ボーリング・フォー・コロンバイン」でも取り上げられた、コロンバイン高校での銃乱射事件。この映画はその事件を、数人の高校生たちそれぞれの視点から見た軌跡として描く。それらの軌跡は組み合わされることはなく、Aの視点の昼から夜まで、Bの視点の昼から夜までという風に、同じ時間が視点の数だけ何度も律儀に反復される。

 通常の映画なら、決してやらないはずのその時間の反復のうちに、しかしそこでは具体的には語られていない何かが浮かび上がる。それぞれの視線の共鳴と言えばいいか。彼らの極めてパーソナルな独立した物語がどこかで共振し合い、小さな音を奏でる。この映画はそれらの共鳴音に耳を澄ましているようでもある。

 だからこの映画は、事件の細部を暴きそこに因果関係を見ようとするジャーナリスティックな視線を持つことはない。そうではなく、ただひたすら、彼らの魂の共振を聞き取ろうとするだけだ。どこからか小さなノイズが聞こえてくる。現実にはその場で鳴っていないはずの音が、聞こえても来る。それらの幽かなアンサンブル。その微妙な震えの中で事件は起こり、そして今も震えは続いている。その幽かさに耳をすますことからでないと何も変わりはしないことを、この映画は世界に強く訴えているように思えた。(樋口泰人)

3月27日より、シネセゾン渋谷ほかにてロードショー

[eiga.com/3月26日]

映画.com(外部リンク)

2004年3月26日 更新

本文はここま>
でです このページの先頭へ