大山版ドラ映画ラストにふさわしい作品
- ざぶとん さん
- 2017年8月11日 2時19分
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- 総合評価
本作のテーマはペット。一見大山版ドラ映画ラストの作品にしてはしょぼいテーマに聞こえるかもしれませんが、実際作品の完成度は非常に高いのです。ドラえもんたち五人がどこかへ行き、困っている者たちを助けるために悪と戦い、勝利し帰ってくるというのがドラえもん映画の典型的なパターンですが、本作も基本そういうパターンです。ではどういう風に完成度が高いかというと、困っている者たちの助けかたです。この映画オリジナルヒロインにイチという犬やその仲間たちの国に隕石が落ちてくるわけですが、それを食い止めるのではなく逃げるという手段を選んだ前提で物語は進んでいきます。そして世界の広さ、不思議さを私たちに暗示させるのです。この世界はまだまだ不思議な事柄に満ちている、藤子不二雄先生がドラえもんだけでなくあらゆる作品で伝えたかったことが詰まっており、大山版ドラ映画ラストにふさわしい作品に仕上がっているわけです。
とはいえ本作はドラえもん映画の典型を貫いています。違うことは内容が少し大人っぽいこと。いままで作品の中でのび太が少し成長したことを描き、見た子どもたちが少し成長することができる内容になっています。
主題歌も名曲です。ドラえもんの主題歌、挿入歌が名曲ぞろいなのは今に始まったことではありませんが、本作で注目して欲しいのは歌詞です。「明日また 幸せであるように」、夕方、子どもたちが遊んで家に帰るシーンが歌われているのですがその時に少し寂しく、少し懐かしく感じる歌となっています。いままでドラえもんを見てきた方たちに対する大山版ドラのスタッフ一同の間接的なメッセージです。作品全体を通して制作者側の情熱がいたるところに染み出しているのがわかります。具体的には実際に作品を見てもらいたいのですが、ラストということで何を届けるのか、何をすべきなのかを非常によく考えて作ったんだなあと感じました。
星5つ、大山版ドラ映画ラストにふさわしい最高の作品でした。
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