2004年4月24日公開
みなさん、さようなら
LES INVASIONS BARBARES/THE BARBARIAN INVASIONS/INVASION OF THE BARBARIANS
99分2004年4月24日公開
abu********
4.0点
ネタバレ皮肉めいたメタファー
一見するとほのぼのとした、 温かい、親と子のヒューマン・ドラマ。 といいたいところなんですが、よくよく考えてみると この作品、裏に実は皮肉っぽい意味合いがあるように思える。 アメリカに行きたくない。この小部屋がいいという 社会主義者の父。でも資本主義の申し子みたいな 息子の成金パワーによって結局はきれいな病室に移り、 ヘロインを手に入れ痛みを和らげ、教え子が見舞いに訪れ (本人は知らない)、本当は車を買って旅に出たいんだという夢を 語り、人類の歴史は殺し合いの連続だと言いながらも自らが ヘロイン投与の安楽死を望む。このお父さんの死は明らかに、 資本主義や情報が押し寄せ、やがて崩壊へと至る 社会主義国そのもののメタファーであることがわかります。 なぜわざわざ娘が船上に居て父に会えずビデオメッセージを 送るという設定であるのか。それは、社会主義を崩壊させた 一番の要因が「情報」であるからでしょう。 本作の原題はTHE BARBARIAN INVASIONS(蛮族の侵入)。 二つの仮面を持ったなんとも巧妙な作品です。
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