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ビッグ・フィッシュ (2003)

BIG FISH

監督
ティム・バートン
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  • みたログ 7,503

4.07 / 評価:2187件

ほら吹き親父の物語論

  • shi******** さん
  • 2020年10月5日 5時55分
  • 閲覧数 1238
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

親父がほら話(実際には多少の事実が混ざっている)してばっかのなので、本当の事を話してくれないことにイラつくウィル。

親父は「つまらん現実」を脚色し面白くしているだけのようで、話のメッセージ自体には「現実と同じ」だから問題ないだろ、周りも楽しんでくれてるし、、、というのがスタンスで、個人的にも同意できるんだが、いかんせん、この脚色したお話が面白くないのだ。

端的にいえば、ティムバートン印の奇人達がたくさん出てくる物語だけで、そこが彼がこの脚本を気に入った理由なだけで、とりあえず最後が感動的ならいいだろいう雑さが僕には感じられた。

巨人と一緒に旅する話も、ていよくサーカスがみつかり巨人はフェードアウト。一目ぼれの女性を横恋慕するときも、都合よく婚約者が死に(伏線はあるけどさ)美人奥さんゲット。こんな感じで浅い、オチの弱い想像力の名を借りた作り話が2時間続く。横恋慕した話とか普通にクズエピソードだと思うんだが、じいさんの都合のよい脚色のせいで「棚からボタ餅」的な、主人公に悪意は無かったというオチになっている。007の秘密組織と同じ名前のスペクター(亡霊の意)という町も、ファンタジーに脚色するのではなく、普通に話せばよくね?ってと常に思ってしまった。

ライフオブパイ、ボヘミアンラプソディもそうだが、陰惨な事実よりも、ファンタジックな御伽噺にテーマを混ぜるほうが人は耳を傾けると思う。ファンが見たいと思うもの、聞きたいと思うものを見せる事が一番いいのかも知れない。

でも、ボクは、ユアンマクレガーのほら話は無意味だと思う。

劇中、病院の医者がウィルの出産のときに「お父さんは病院で待っていた」というエピソードを話す。ウィルは「そういう話も好きです」という。うん、普通に、素直に、話せばよくね? 巨人や魔女や亡霊の町、サーカスがないと人生は彩がないもんなの?(いや、バートン的には通常運転なんだろうが)。

ライフオブパイもボヘミアンも「現実は見たくない」という動機があった。

だから「伝えたいメッセージ」だけを抜き出して伝えたのも頷ける。

でも、ビッグフィッシュのユアンマクレガーは単なる「余計な脚色」であり、素直に話せば10秒で終わる物語の水増しでしかないと強く感じる。「赤毛のアン」の主人公アン・シャーリーがグリーンゲーブルズを様々な美しい妄想で彩ったのは「想像力」を感じるが、このオッサンの想像力は単に自分の好きな要素をぶち込んだだけで、無理やり感が強いのだ。

例えばサーカスで一ヶ月働くごとに一つ好きな彼女の情報を教えてもらうエピソードにしても、サーカスの辛い下働きについては一切言及がない。あくまでサーカスを登場させるためだけの設定なのだ。浅い。そしてつまらない想像力だ。

つーか、こんなホラ話、息子が「事実だけを言え」って頼んだら、素直に話せばいいだろうに。これが息子との不和の要因になるだけに、バカらしくて呆れてくるよ。

そして、ついに来る父親の最後。

トリを飾るホラ話は親父の不倫願望。

結局、それかよって感じ。

ファンタジーじゃなかったのかよ(冷笑)。

最後はウィルもホラ話を話し出すが、これも即席で作ったひどいクオリティの作り話。そりゃ、お父さんを担いだけど「重くなかった」んであれば、どうとでもできるだろうさ。基本的に、この映画に出てくる「想像力」とは「主人公に都合のよい事実改変」そのもので、妄想に近い。だから、俺みたいに本当に想像力のある人にとっては、純粋でもなければ、突飛でもなく、または美しくも写らない。

親父さんが死ぬときはビッグフィッシュ(届かない存在)になるのだが、居合わせた家族は息子ただ一人。散々、愛してたと行っていた奥さんはいない。世話した家族もいない。そうだよね、女にはフリークスばっか出てくる妄想は受けないよね。うんうん、分かるよバートン監督。このメッセージだけは僕は感動したよ。

実は本作は初見は映画館で、ネットフリックスで数十年ぶりに2度目を観たんだが、当時と感想は同じだったよ。バートンの才能が枯れてきた時の映画だよな。今は完全に枯渇したけどね。

詳細評価

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