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ドリーマーズ (2003)

THE DREAMERS/I SOGNATORI

監督
ベルナルド・ベルトルッチ
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  • みたログ 514

3.33 / 評価:173件

両親が置いていった小切手

  • debbyharry555 さん
  • 2010年1月17日 19時33分
  • 閲覧数 3608
  • 役立ち度 19
    • 総合評価
    • ★★★★★

退廃的な60年代のパリが舞台となっていますが、メイン・キャストの20歳そこそこの若者達が話題にする映画や音楽はアメリカの作品が殆どです。当作品も気になっていながらなかなか入手できずにいた中、急に目の前に飛び込んできた作品だったので、鑑賞モードのスイッチが入らない状態でみることになった作品です。

一卵性双生児のイザベル(エヴァ・グリーン)とテオ(ルイ・ガレル)は詩人を父を持ち、そこそこの中流家庭で育ちますが、父親の影響もあるのか自然・純粋主義といったものをもち、どこか一般の常識をはずれたかのような行動をとります。二人の関係はとても親密で同士・親友・家族・恋人の域を超えていると言ってもいいでしょう。

そこへイザベルが街で知り合い、気に入ったアメリカ人の青年マシュー(マイケル・ピット)が加わり二人の生活から世界がやや広がるかと思いきや、マシューが二人に振り回されるような展開になります。

「007慰めの報酬」でもお馴染みのエヴァ・グリーンのデビュー作とは思えない大人びた落ち着きと美でもって彼女の23歳が堪能できます。惜しげもないヌード・シーンの連続ではありますが、まさに女性がみてもうっとりするような彫刻美です。二人の男優も絵にはなりますが、エヴァの横にいると添え物になってしまいます。

暴力には絶対反対のアメリカ人のマシューはイザベルから真の愛を手にしたかったのですが、イザベルにとっての永遠の愛は自分の分身でもあるテオ以外に考えられなかったのでしょう。

詩人の父親に反発するテオと父親との会話が興味深かったです。革命で何かを変えられると思っているようではまだまだだと言う父親に、だから運動に署名しなかったのかと父親に反論するテオ。詩人は自分の詩にしか署名しないという父親。そして詩は署名であり、署名は詩であると結論づけたテオ、、、。

両親がしばらく家を空けている間の若者3人の自堕落な生活振りは、ヒッピーの反社会精神を象徴していたものだったというよりは極個人的な双子の姉弟流のものだったように思えてなりません。思想はあったようでなかったようにも見えました。

「親にふしだらな姿を見られたら生きてはいられない」と言っていたイザベルは、なぜいつ親に見られてもおかしくない状況でそういう事を繰り返していたのか、言動と行動が矛盾しているんですが、後から考えてみればイザベルとテオには生きることへのこだわりがなかったようにも思えてきました。両親はそんな子供達が不憫に思えてそっと小切手を置いて静かに立ち去ったのでしょうか。

ベルトルッチ監督作は「シェルタリング・スカイ」に次いで2作目の鑑賞になりますが、共通しているのは退廃的な空気です。ドリーマーズというタイトルは皮肉でつけられたものだったのかと思うほど夢や希望を感じさせられません。むしろ夢の中でしか生きられないかのような人たちが描かれていたようにも受け取れます。

ヨーロピアンな映像とジミヘン(ジミー・ヘンドリックス)のエレクトリックなサウンドが妙な融合効果をあらわし言いようのない不気味さを醸し出します。東京タワーにある蝋人形館を出てすぐの一角にあるメタル・プログレ・パンクのような特定のファンを魅了するような不気味さと言ったらわかる人にはわかってもらえるかも知れません。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 不気味
  • 絶望的
  • セクシー
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