ブラッド・ブラザース

THE BLOOD BROTHERS/刺馬

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ブラッド・ブラザース
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作品情報上映スケジュールレビュー

作品レビュー(2件)

悲しい20.0%かっこいい20.0%勇敢20.0%泣ける10.0%絶望的10.0%

  • xi_********

    4.0

    歴史に名を刻む情念の功夫史劇

    本作は73年製作の香港映画で、その生涯で90本にも及ぶ作品を遺した香港の巨匠・張徹(チャン・チェ)の最高傑作と称される功夫映画です。 今の日本で張徹を知るのは一部の功夫映画マニアに限られますが、地元の香港では“功夫映画の父”とまで呼ばれます。60~70年代を通じてショウ・ブラザースに在籍し、王羽(ジミー・ウォング)、狄龍(ティ・ロン)、姜大衛(デビッド・チャン)、陳觀泰(チェン・カンタイ)、傅聲(アレクサンダー・フーシェン)など多くの武打星を育て、ヒット作を生み出しました。また、この人の下からは今日も活躍する多くの映画人が巣立っており、その代表格はこの映画でも助監督を務めた呉宇森(ジョン・ウー)でしょう。 張徹映画の多くは、武侠や功夫の世界を借りて、いわゆる“男たちの生き様(死に様)”を描きます。ストーリーは悲劇性を帯び、描写は実にエモーショナル。主人公が壮絶な非業の死を遂げる彼の映画は70年代のスタンダードともなり、同時代の胡金銓(キン・フー)と並び、今も(日本を除く)アジア圏に多大な影響を与えています。契約問題のために実現しませんでしたが、この人の演出する李小龍(ブルース・リー)の映画が観たかったと思うのは、功夫映画マニアの儚い夢でしょうか(笑) では、清末四大奇案の“両江総督・馬新貽暗殺事件”に着想を得た、義兄弟三人の悲劇を紹介します。 清朝末期。馬新貽(狄龍)は乱世に乗じた立身出世の野望を胸に京城(都)を目指していた。その途上、ある山中で匪賊の黃縱(陳觀泰)とその妻(井莉)、そして義弟・張文祥(姜大衛)に襲われるが、圧倒的な功夫で二人を組み伏せる。馬新貽が語る野望に魅せられた張文祥は彼を長兄に迎え、三人は群盗を組織して時機を窺う。黃縱の妻は粗野な夫にはない馬新貽の魅力に惹かれるようになるが、やがて彼は時節到来と見てひとり京城へ旅立ってゆく...。 上に書いたように“馬新貽暗殺事件”は実際に起こった事件で、張文祥が衆人環視の下に両江総督を刺殺した出来事です。しかし、その背景や動機が解明されず、結局奇案(未解決)となり、民衆の間では様々なことが噂されました。映画はこれをモチーフに、篤い友情で結ばれたはずの三人の義兄弟が、なぜ袂を別つことになったのかを描いています。 張徹のドラマチックな語り口は、いつも以上に冴え渡ります。同じ時期、これも代表作とされる『裸足の洪家拳』がありますが、やはり、この頃の張徹は全盛期を迎えていたのでしょう。全く淀むことのないストーリー展開も見事だし、何より、主人公三人の描き分けが素晴らしい。個性がバラバラの義兄弟三人を本当に巧みに描き、その出会いから訣別までを“必然”として観客に納得させます。 凛々しくも力強さ漲る視線で馬新貽の燃えさかる野心を伝え、野盗あがりの黃縱は常に上半身裸でその朴訥さを、そして末弟の張文祥は微笑みに寂しさを湛えることで、やがて来る悲劇を予兆させる。 もちろん、これは配役がピッタリはまればこそですが、その意味で、この映画の狄龍の素晴らしさには異論の余地がないでしょう。 男が観ても「美しい」と漏らしかねないほどの、その色気。古今東西、美形スターは星の数ほどおりますが、この映画での狄龍に比肩する“男の色気”を醸し出す俳優がいるのなら教えて欲しいくらいです。単純に、登場シーンでのその美青年ぶりが他を圧倒しているし、物語後半で官位を得た後の雄々しさなど、もう異常です(笑) まさしく先のレビューにもある通り、功夫の巧拙では陳觀泰、演技では姜大衛に譲っても、スクリーンを支配するのはあくまで狄龍。後年、呉宇森が『男たちの挽歌』で彼の主演にこだわったのも納得の、その“銀幕のスター”ぶりは必見。 そして、クライマックスの死闘は、香港の長い功夫映画史上でも一、二を争う素晴らしい出来。先頃他界した劉家良(ラウ・カーリョン)が演出するその闘いは、単純な功夫ファイトとしてならこれ以上のものはいくらでもありますが、これほど情念の域にまで達したシーンとなると、そうは思い浮かびません。 07年に本作をリメイクした陳可辛(ピーター・チャン)の『ウォーロード/男たちの誓い』は、より歴史の奔流に呑み込まれる義兄弟として三人の悲劇を描きましたが、こちらは、それ以上に根本的な部分の対立による必然の悲劇とし、そして、その上で義兄弟三人が歴史に遺したものは何もないのだ、と謳います。 『ブラッド・ブラザース 刺馬』。 これは単に張徹の最高傑作と言うだけでなく、功夫映画の歴史に名を刻む一作だと、私はそう思っています。

  • cya********

    4.0

    あまりに美しいアクションシーン

    「ワイルド・ブリッド」 「ブラッド・ブラザーズ/天堂口」 「ウォーロード/男たちの誓い」 繰り返しリメイクされる原点が1973年のこの作品である。 友情を結んだ三人の男が裏切りと復讐の果てに悲劇へとなだれ込んでいく。 普遍的ともいえるドラマティックな展開と、どの時代を舞台にするか、 裏切り者・裏切られる者・復讐者のうち誰をストーリーの中心におくかにより 話の印象が変わるところが繰り返しリメイクされる理由であろう。 演技で優るデビッド・チャン、アクションで優るチェン・カンタイを押さえ、 この作品で光っているのはティ・ロンの存在感である。 往年のスターらしい美男子ぶりが画面に映えるうえ、 今回はいつもの一本気な英雄像から一転、 凄みすら漂わせ野心的な男を演じている。 終盤におけるティ・ロンとデビッド・チャンの戦いは 復讐というよりまさに決闘である。 アクションの巧拙を越えて、あふれ出すエモーションにただ圧倒される。 戦いを、一瞬の燃焼をこれほどまでに美しく描いたシーンを他に知らない。 スローモーションを多用したアクションシーン、男同士の絆、など チャン・チェがジョン・ウーに与えた影響は この作品においても随所に感じられる。 (この作品の助監督はジョン・ウーがつとめている) 今やハリウッドを通じて世界に広がったジョン・ウー映画の 源流を感じられる作品でもある。

スタッフ・キャスト

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基本情報


タイトル
ブラッド・ブラザース

原題
THE BLOOD BROTHERS/刺馬

上映時間

製作国
香港

製作年度

公開日
-