??点 物差しに収まらない悠久無碍。
- toratoraborta さん
- 2011年6月20日 13時01分
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オリヴェイラの持っている視座は、我々の住む世界の時間性とかけ離れたところにある。
それが本作にはかなり直接的によく現れていると思う。
舞台も主題も終始、西洋にとどまる。あなたが仮に戸惑っても、それは人種の問題ではない。つまるところ、オリヴェイラという遺産のような人そのものと我ら凡人の隔たりであるから。
この作品に圧倒されこそすれ、まるでオリヴェイラを分かったように同意の拍手を送るのは誤りだろう。この人はとうに手の届かぬ作家になっている。
なんと言うか、そのような目線の持ち主が地中海を流れに任せて、その胸に溜まるところを押さえていったというか、そういう作りなのだ。こんなこと、他の誰にも許されたことではない。ゴダールですら、近作『フィルム・ソシアリズム』も似たようなコンセプトと主題を持ちながらも、随分と拘泥というか、恥じらいというか、人間的部分が見て取れるのだから。
極めてラディカルに映画的でもある一方、映画ですらないような気もするので評価できない。かといって、忘れてしまう作品でもない。
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