ローマン・エンパイア

IMPERIUM: AUGUSTUS

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ローマン・エンパイア
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作品情報上映スケジュールレビュー

作品レビュー(3件)

かっこいい16.7%勇敢16.7%切ない16.7%知的16.7%悲しい8.3%

  • kih********

    4.0

    史「学」へのとっかかりになる史「劇」。

     初代ローマ帝国の皇帝サマだ。少なからず世界史に影響を及ぼした人物だ。このクラスになると虚実入り乱れてレガシーになるから、史「劇」にしかならない。映画の場合には尚更だ。しかし、世界史の教科書(それすらも、どこまでが史実かは疑わしいことが多い)のような、正確を気取った無味乾燥な記述よりは面白い。少なくとも、その世界へのとっかかりにはなる。私には良いとっかかりだった。  だってそうではないか、自分の国のことだって、教えられている歴史がどこまで正しいか、随分怪しいものだ。先ずは虚実不明のままでも、とっかかりをいただきたいのだ。そうでないと、歴史そのものへの関心が失われ、従って、現代社会や国際関係について、全く無関心な輩が多いからだ。あやふやな知識で変な思い込みをしている社会人と、関心を寄せない社会人と、どちらがより無責任だろうか。  ローマンエンパイアが形になる頃、これを皇帝になった側から見るとこういう事情だったということだ。それは特別の事情ではなくて、いつも・どこでもの皇位継承を巡る内紛、政・軍・財の勢力争いや近隣国との覇権争い、に尽きる。手っ取り早くいえば、権力闘争だ。あえて、特別の事情と言えば、各人物の特性-平たく言えば、家柄・能力・個性といったところか。  特性と特性の絡み具合で、歴史をドラマに仕立てることができる。それも、結局は忠義と裏切り、憎しみと許し、武力と民力、そして必ず男と女。歴史ドラマの方程式のようだ。それでも、時代考証を経たセットが参考になる。動作・衣装・食事などが参考になる。  ドラマとしては、エジプトのクレオパトラの方が有名だが、あちらはエジプトから見たローマ、こちらはローマから見たエジプト。双方を複眼的に見るようで、その点ではおもしろかった。  もうひとつ、エンドロール間際に、「この頃ナザレの村で、イエスという人物が……」という一文解説が付せられていた、これが面白い。通常聖書物語では、イエスの側からローマを見る。しかし、ローマの方から見ると、「さて、そのイエスという男をどうする?」ということになる。その点でもおもしろかった。

  • sei********

    3.0

    珍しいローマ史劇。

     ローマ史劇というと、よく題材に使われるのはローマの独裁者にして事実上の帝政を布いたカエサル(「クレオパトラ」「ジュリアス=シーザー」)、イエス・キリストが生きていた時代のティベリウス(「ベン・ハー」「カリギュラ」)、破廉恥で悪名高いカリギュラ(「カリギュラ」)、キリスト教徒を公の場で虐殺したとされるネロ(「クォ・バデス」)、ローマ全盛期の名君として現在も名高いマルクス=アウレリウスとその息子でローマ衰亡のスタートをきったバカ殿コモドゥス(「ローマ帝国の滅亡」「グラディエーター」)に集中される。  ところが、意外に少ないというより殆ど取り上げられず、せいぜいクレオパトラ物で脇役に出てくる程度の扱いをされるのがローマ初代皇帝のアウグストゥスである。(余談1)  物語としては軽い扱われ方をされるアウグストゥスだが、実はローマを共和制から強力な元首を冠した帝政へと移行させ、政権と治安と経済の安定、ライン川・ドナウ川・ユーフラテス川を国境線として確立、長らく続いた内戦を終結させて「ローマの平和」を確立させた有能な政治家である。  なにより、ローマの政治を牛耳ってきた海千山千の元老院議員(余談2)たちと渡り合うのは大変だったはずだ。シーザーが暗殺されたときはまだ17か8、政敵を倒して事実上の独裁者になったときもまだ33歳。当時のローマ社会でも「若造」である。  ところが、焦らず詰めを誤らず、老獪な議員たちから「独裁者」になっていると疑われないよう慎重に振舞いながら権力や権限を自分自身に集中させ、共和国の建前を守りながら「ローマ市民第一人者」という名称の皇帝(余談3)を創り上げていく。このアウグストゥス政権はなんと40年も続き、さらに後継者たちが少しずつ修正を加えながらも基本的には同じ政治体制を300年近く続けるのである。(余談4)  これほどの大人物をなぜ主人公にできなかったのか? 理由は簡単でアウグストゥス本人がヒーローに見えないよう地味に振舞っていたからだ。稀代の英雄シーザーの二の舞にはなりたくなかったのである。  それからアウグストゥス自身が武勇を誇る軍人というより実務派の政治家だった。NHK大河ドラマでも武将たちが大軍を率いて闘う源平合戦・戦国時代・赤穂浪士は視聴率が高いが、政治的な駆け引きの描写が多い幕末明治維新では下がるという話もある。アウグストゥスは映画の主人公に不向きなキャラクターなのだ。  そんなわけで、せっかくアウグストゥスを主人公にした映画ではあったが、彼のような複雑なメンタリティーの持ち主を主人公にするのは難しく、伝記映画にありがちなダイジェスト版的作品になってしまった。  とはいえ、TV映画の割にはローマ時代の建物のセットも良かったし、ローマ軍の装備も誤りはなかった。(余談5)老年のアウグストゥスを演じたピーター=オトゥール氏からは権力者の寂しい晩年が滲み出ていて、佳作の域ではある。   (余談1)現代の暦はローマ時代に確立されたが、その時の設定者の名前が月々の名前にされている。アウグストゥスの英語読みはオーガスト、つまり8月である。ちなみに7月の「July」はジュリアス=シーザーからとっている。 (余談2)現代の国会に似た機能を果たしていた。現代世界で二院制を布いている諸国が「上院」を「セナートス」と称しているが、これはローマ元老院(ラテン語でセナートス)から由来している。 (余談3)日本の征夷大将軍も似たようなところがある。本来は天皇に代わって外征する大軍の司令長官という意味でしかないのだが、鎌倉幕府・室町幕府・徳川幕府と経て、天皇を中心に設定した奈良時代の官僚組織の名前はそのままに、内大臣などの元首級の官職などを兼任することで事実上の国家主権者になっている。 (余談4)3世紀初頭から政治的混乱が長く続いたため、3世紀末の皇帝が民主的なスタイルを一掃し君主か国王のような制度に改めた。 (余談5)よくある間違いは、紀元2世紀頃の装備を紀元前1世紀に着けている事である。

  • dam********

    5.0

    ネタバレ「父と娘」

    このレビューにはネタバレが含まれています。

スタッフ・キャスト

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基本情報


タイトル
ローマン・エンパイア

原題
IMPERIUM: AUGUSTUS

上映時間

製作国
イタリア/ドイツ/スペイン

製作年度

公開日
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