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デビルズ・バックボーン
2004年8月28日公開

デビルズ・バックボーン

EL ESPINAZO DEL DIABLO/THE DEVIL'S BACKBONE

1062004年8月28日公開

pum********

4.0

しんどい泣きホラー

いまやコアなファンを持つ鬼才になった感がある、 ギレルモ・デル・トロ監督のスパニッシュホラー。 ブレイド2を観た時は、 まさかこんな監督になろうとは思いもしなかったけれど、 本作やパンズ・ラビリンス、そしてミミックやプロデュースした永遠の子供たちやらを観ると、 もともと、ブレイドのようなアクション主体の映画は向かないんだろうと。 この人もやっぱり、ライターやってることも関係あるのか、 ストーリーテラーなんやろうと思う。 パンズ・ラビリンスを観るまでは、 ただのB級映画監督かと思っていたのだけれど、 パンズを観て、その後からミミック、 そして永遠汚子供たち、本作を観ると、元からB級映画監督なんかじゃ無かった。 それに、ホラー上がりの監督として、 ピーター・ジャクソンとだぶったりもしたけど、 ギレルモ監督は、ストレートなホラーは結局一本も撮って無い気がする。 本作にしろ、ミミックにしろ、 我々が想像するB級ホラーとは違う。 つか、ホラーじゃない気がする。 パンズと永遠の子供たちが多分完成形なんだろうけど、 死とその先を扱った、ヒューマンドラマなんだろうと思う。 あえてホラーのジャンルに当てはめると、 泣きホラーという新ジャンルになるのかなぁ。 でも、"泣く"って一言では表せない、 妙なダークさがある。 ジャパニーズホラーも、泣き要素はあるんだけど、 基本的に恐怖の追及がまず先にあるから、 泣くバックボーンがあっても、最終的には恐怖でひっくり返す。 ギレルモ監督の場合は、恐怖を描いているというよりは、 死を真正面から捉えて、死という観点から人生を描いているように思える。 だから、霊が出てきたり、超自然的な要素が入り、 結果的にホラーになってる気がする。 そして、一貫して哀しいハッピーエンドで幕を閉じる。 それがギレルモ流の様式美になりつつある。 本作はその原点にあるような映画で、 一歩前のミミック雰囲気を残しつつ、 ヒューマンドラマに舵を切ったホラーを創り上げた。 本作があって、多分パンズが生まれ、 永遠の子供たちが生まれた気がする。 ただ、正直な話、ギレルモ映画ってのは、あんま好きじゃなかったりします。 観たら面白い。それは、面白い。 ただ、重いし、疲れるんですよね。 作風は違うけど、クリント・イーストウッドも私的にはそうで、 映画が公開されれば観るし、観終わった後、 「良い映画だった」となるけれど、 でもしんどいと、それは心地よいしんどさじゃなく、本当にしんどい。 本作も、もう関係がドロッドロやし、 展開は切ないし、一言の意味が重いし、感動するし。 しんどい。 たぶん、このしんどさは、 真正面に死を描いて、生を描いてるからだと思う。 だからしんどくて当たり前なんだろうと。 正直、この監督独特の間や、マッタリとした展開は、 気を抜くと飽きてしまうから、必死についていくんですけど、 終盤の物語の帰結の仕方は流石です。 ジワジワと感情を掴まれる。 ドアの鍵を開けるシーンとかね。 その前の一言があるから、感動する。 そして最後の背中。 アートやね。 これは、ギレルモ監督が創り上げた、 1つのホラーの形かもしれない。 良い。けど、ほんとしんどい映画やなぁ。

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