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デビルズ・バックボーン
2004年8月28日公開

デビルズ・バックボーン

EL ESPINAZO DEL DIABLO/THE DEVIL'S BACKBONE

1062004年8月28日公開

sas********

4.0

孤独な魂のやむを得ぬ悲劇・・・・

恐らく小説にしたら、何百枚もの大長編になるほど、堂々たるゴーストホラーである。内戦下の孤児院という閉鎖された場所で渦巻く、人間のあらゆる感情。 彼らに共通する感情は、孤独。親に捨てられた子供たち。 教師たちも、それぞれ事情と孤独を抱えている。 その孤児院の庭には、巨大な不発弾。 心臓の音がする不発弾。 そして夜な夜な現れるゴースト。 ホラーというのは、ゴーストキャラの殺戮模様を描いたものではない。それは、スプラッタであり、ホラーではない。 ホラーは、恐怖のフィルターを通して、人間の感情を表現するものだ。ゴーストキャラは、その行き着く先にあるもので、殺戮は彼らの、やむをえない感情の結果でなければならない。 本編の最初と最後に、ゴーストとはなにかという問いかけがある。 ゴーストとは、人間の孤独の感情の行き着く先、そこには復讐と憤怒があり、そこから殺戮が生まれるのだ。 スプラッタとホラーの違いは、殺戮の訳に、このやむをえない感情があるか、ないかによると思う。 孤独の魂のやむを得ない悲劇・・この映画を製作したアルモドバルにも共通するテーマでもある。 「人を殺せるかい・・僕は殺せるよ」 少年が言う。 確かに、この映画に出てくるゴーストは、ほとんど殺戮しない。 しかしそこに住む人間の孤独の心を、殺戮に向けていく狂気の案内人になっている。それこそが、この映画の本当のホラー(恐怖)。 究極の絶叫と驚愕の戦慄。 この映画の宣伝文句である。 この映画を見て、この映画を本気で紹介しようとしている人間の書くコピーじゃない。前に書いた吹き替えの管理の問題といい、もう配給会社、宣伝の人間などに、映画を任せておけない。 観るこちら側は、自分なりのアンテナを持って情報を取り、選択していかなくてはならないだろう。そしてできるだけ何でも見よう。 「バンスラビリンス」が楽しみになってきた。

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