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蛇の卵 (1977)

THE SERPENT'S EGG/DAS SCHLANGENEI

監督
イングマール・ベルイマン
  • みたいムービー 3
  • みたログ 23

3.64 / 評価:11件

酷い夢から覚めると、現実のほうが酷かった

  • bun***** さん
  • 2009年7月23日 22時46分
  • 閲覧数 306
  • 役立ち度 8
    • 総合評価
    • ★★★★★

ベルイマンがはじめてアメリカ資本(プロデューサーは
ディノ・デ・ラウレンティス)で撮った作品で、
スタッフが従来の10倍に増員され、
1920年代のベルリンの町並みをオールセットで
再現出来るほどの制作費を与えられた事で、
演劇的と言われる閉鎖的な空間描写の多かった彼の
作品とは思えない、風景全体を俯瞰して、その中を
主人公を自由に歩かせて撮る移動撮影が多用された、
オーソドックスな映画らしい映画に仕上がっています。
そして、もうひとつ特筆すべきなのは、
今年の6月に他界した『燃えよ!カンフー』『キル・ビル』の
デビッド・キャラダインを主役に抜擢している事なのですが、
共演したリブ・ウルマンが上手にエスコートして、
彼の新たな一面を引き出すのに貢献していて、
ハリウッド臭さを感じさせない陰湿な演技で、
ベルイマンの重厚な世界に、
違和感なく溶け込めていました。

タイトルの『蛇の卵』は、第一次世界大戦の敗戦で
フランスに領土を奪われ、イギリスには賠償金を支払い、
1ドルが50億マルクに暴落するインフレに見舞われて
希望を失ってしまったドイツの暗い未来を『蛇の卵』に譬えて、
薄い膜を通してはっきりと見える、新しく生まれてくる蛇の姿に、
兵を扇動して、蜂起を企てているヒトラーの姿を重ねて、
不安と恐怖を暗示しています。

映画は、「酷い夢から覚めると、現実のほうが酷かった」と
主人公が嘆く、ナチスが台頭してくる前夜のドイツのデカダンスを、
ユダヤ人が経営するキャバレーのショーに象徴させて描かれますが、
その重々しい空気感が最後まで画面を漂い、
息苦しさを覚えてしまいます。
併し本作のベルイマンは、今まで予算の関係で出来なかった
新しい試みに挑戦していますが、
はしゃぎ過ぎて自分を見失ってしまっているようで、
遊び心が空回りしているように思えました。(65点)

詳細評価

物語
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