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蛇の卵 (1977)

THE SERPENT'S EGG/DAS SCHLANGENEI

監督
イングマール・ベルイマン
  • みたいムービー 3
  • みたログ 23

3.64 / 評価:11件

ベルイマン監督が描く恐怖映画

  • Kurosawapapa さん
  • 2015年6月25日 7時03分
  • 閲覧数 839
  • 役立ち度 7
    • 総合評価
    • ★★★★★

人間の “精神の闇” を描くことの多いイングマール・ベルイマン監督は、時としてホラーも作る。

ホラーといってもスプラッターやグロではなく、
ベルイマン監督が描くのは、精神的恐怖映画。

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舞台は1922年のベルリン。
主人公は、ユダヤ系アメリカ人のサーカス芸人。
同じ芸人の兄が自殺し、その後、兄の妻と一緒に暮らし始めるが、次第に事件に巻き込まれていく。
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1ドルが50億マルクという天文学的インフレで、パン1つ買うのに荷車一杯の紙幣を要し、
反ユダヤ主義が広まりヒトラーが兵を扇動し始めた、不安と恐怖が渦巻く時代。

不可解な人物の登場や、謎の死があり、
主人公の不満、苛立ち、恐れが増していく。

かなり時間を割いているキャバレーのコミカルな舞台(当時はキャバレーやレヴューが大衆文化の一環だった)も、主人公の焦燥感に打ち消される。

ベイルマン映画らしく、教会に救いを求めるシーンも存在するが、
今作でも、 “神” は沈黙している。

綿密な時代考証によって描かれたベルリンの “享楽” そして “頽廃” 。
これがロケではなく、殆どセット撮影というから驚き。

難解な作品が多いベルイマン映画だが、
この映画は “サスペンス” として、後半、全てを理解できる。

陰鬱な反面、謎解きとしての “スッキリ感” を得ることができ、
その点では、かなり練り込まれた脚本。


ベルイマン監督は、1976年、社会民主党政府によって見せしめ的に脱税容疑をかけられ、祖国スウェーデンを離れます。
この映画は、1977年にミュンヘンで製作された作品。
1923年ミュンヘンで起きたヒトラー蜂起に寄せ、「 スウェーデンでもナチ化が起こらぬ保証はない 」と、本作に警告を込めたそう。

それ故、 冤罪、 社会権力、 反ユダヤ、 危険思想など、
かなり政治色、社会的色合いが濃い作品になっている。

また、「 人間は自然界の中の失敗作 」という台詞もあり、
 “自戒的観念” が根付いているのも、ベルイマン映画の特徴。


これまで個人や家族を対象に、精神の冬を視つめてきたベルイマン監督。
今作では、社会全体をも闇に包み込んでしまった。

「蛇の卵」というタイトルは、
薄く半透明の殻の外から中の蛇が透けて見える事から、凶兆を隠喩したもの。
蛇嫌いの自分としては、なんともおぞましい。

誰もが知らぬ間に毒気を吸い込み、
闇の世界が広まっていく。

邪悪なものが、社会や人間の心にまで蔓延していく、、、
そんな恐怖を感じさせる作品です。

(INGMAR BERGMAN:No11/14 )
今作の監督キーワード:「自戒的観念」

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 不気味
  • 恐怖
  • 絶望的
  • 切ない
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