ここから本文です

セクシードリンク大作戦 神様のくれた酒 (2003)

監督
本田隆一
  • みたいムービー 0
  • みたログ 8

3.00 / 評価:2件

「映画」へのもうひとつの道

  • 諸星大五郎 さん
  • 2007年4月18日 19時40分
  • 閲覧数 194
  • 役立ち度 21
    • 総合評価
    • ★★★★★

 かつてプロの映画監督になる道は我が国には一本しか用意されていなかった。製作会社に入り、現場修行を重ねて監督になる。大家と呼ばれる監督、中堅の監督はほぼみなそうだ。登竜門としての日活ロマンポルノなどいわゆるピンク映画の助監督を経て、デビューしていった監督さんも多い。いまだに、大蔵ピンク映画に踏みとどまる人達もいて、邦画が好きな私としては、踏みとどまっている彼らにもささやかながらエールを送り続けている。

 しかし最近、いよいよその本道とは違う道から監督になった若手監督達が商業邦画の世界に、点から面へ、陣営を築きだした。70年代生まれの監督たちだ。
 ゆうばりファンタスティック国際映画祭は自主制作から商業邦画の監督を目指す若い人たちの登竜門として、邦画活性化に大きな役割を果たしている。嬉しいかぎりだ。また、このところインディーズ排出に、しっかり位置づいた感のある大阪芸術大学の仕事っぷりにも期待をしている。

 大阪芸術大学映像学科出身でインディーズから商業邦画の世界へ羽ばたいた若手といえば、76年生まれ山下敦弘、75年生まれ熊切和嘉、そして本作監督の74年生まれの本田隆一が代表選手だろう。この3人の映画的好みで言えば私は 本田隆一が好きだ。

 映画の本道から出てくる監督たちの映画は破綻がない。見ていて安心できる。68年生まれの犬童一心もインディーズで注目された人だが、その後業界で修行を積んでいるから、映像が洗練されている。同年の行定勲はまさに本道を歩いた人だ。

 一方、貧乏しながら(失礼!)ストレートに自主映画をつくり、製作会社の目にとまった人達は、意外性で勝負していた人達だ。だから商業映画を撮っても既存の枠にとらわれない新しいタイプの映画を作る予感がするし、なにかしでかしそうな期待感がある。
 また70年代生まれのインディーズ出身監督は、私と同世代でインディーズから来た園子温や塚本晋也(この人はCF製作会社入社で修行経験が若干あると聞く)とは違って、いい意味で鑑賞者に対して一定の距離のある映画をつくっているように感じる。

 ただ、鑑賞者として苦言を言うなら、いわゆる「キレ」た映画に終わらないで欲しいとは願う。映像にパワーがあっても芝居の基本であるドラマツルギーの習熟とは、素人ながら、不断の勉強と人生の経験によってしか得られないと思うからだ。

 本道、インディーズ、どちらがいいということではない。商業邦画を愛するファンなら、両方の出身者を応援すればいいのだと思う。

 さて、前述の大阪芸術大学。この出身監督は思わぬプレゼントを邦画界に持ってきた。それが山本剛史であり、山本浩二という同世代の俳優である。剛史の方は山下監督の高校生からの友人。浩二は大阪芸術大学からの友人と記憶する。
 特段に山本浩二はいい。大ブレイク寸前である。おそらくカブってくるのは竹中直人さんの一部の領域だろう。竹中さんもうかうかしていられない。山本浩二の芝居を見るなら山下敦弘監督の「バカのハコ船」は絶対はずせないが、これは以前レビュした。
 
 今回はあえてマイナーな本田隆一監督の「セクシードリンク大作戦 神様のくれた酒」をレビュしておく。本田隆一の映画もどんどんキレテいくが、しかし、60年代風のレトロな雰囲気、大蔵映画風なアングラさが、私のような者に気になって「あんちゃん!がんばっとるやないの」という風に、憎めないのである。

 山本浩二は、本作ではちょい役だが、ほんとに味がある人だと思う。彼の、まわりより半拍タイミングをはずす芝居がいい。天性だろう。本作では神様役である。この人しかできん、とぼけた神様。

 本作、DVDの付録に、監督と同僚2人で演ずる「こっくり」さんモノのコントのような短い映像があるが、山本浩二はこっくりさんを演っている。貧乏なきたない部屋で、映画バカの若いもん(失礼!)が、こんな不始末な映像を撮っているのを観ると、ますます「あんちゃん! しゃーないなー、あんたら応援するわ」と思ってしまう私なのだ。

 でも映画としてはおまけしてもきっと☆3くらいだよ。本作。
 ☆1はファンとしてのエール分。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 不気味
  • かっこいい
  • コミカル
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ