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いま、会いにゆきます
2004年10月30日公開

いま、会いにゆきます

1192004年10月30日公開

cyborg_she_loves

1.0

私の嫌いな俳優

本当に優れた映画は、出てる俳優が嫌いな観客をもいつの間にか引き込んでしまうものです。本当に優れた俳優は、その人のことが嫌いな観客でもぐいぐい引き込んでしまう力を持っているものです。私はそう思っています。  私は竹内結子さんの大ファンでありまして、彼女のことを裏切った中村獅童はゼッタイ許せないという感情がもともとあったところに、去年の結子さんの死去ですから、いくら結子さんのファンでもこの映画だけは見返す気になりませんでした。この映画さえなければ中村獅童との結婚もなかっただろうし、さらには……なんて余計な想像もしちゃうんで。  しかし、知人がこの映画を「感動しました~」とか言って喜んでいるのを聞いて、いや、以前見た時も大した印象は残らなかったんですが、今見返したら上に書いたような個人的な思いを吹っ飛ばして感動させてくれるほどいい映画だと思うだろうか? と興味が湧いて、視聴しました。  もうひとつ。最初に見た時は意識してなかったんだけど、この映画の脚本が岡田惠和さんだと後で知って、そこに興味を持ったというのもあります。  岡田さんは、「ど根性ガエル」とか「銭ゲバ」とか「小公女セイラ」とか、有名な原作を見事に換骨奪胎して岡田ワールドにしてしまう力量の持主なのは周知のとおり。  この映画も、どのぐらい岡田さんの個性が発揮されているかに興味を持ったので、見てみることにしたわけであります。  で。どう思ったかと言いますと。  最初に見た時は、印象に残らない、うす~い映画だな、としか感じませんでしたが、今回ははっきりと、不愉快な映画だと感じました笑。  本当に優れた俳優は、その人の実生活上のゴタゴタのことなどスクリーンを見ている観客には忘れさせてしまうものです。完全に映画の登場人物そのものになりきって観客の目の前に現われてくるからです。  この映画を見ている間、中村獅童は秋穂巧ではなく中村獅童にしか見えませんでした。だから、竹内結子さんと彼との間にこのあと何が起こるかを知っていて見ているこっちは、不快感しか感じなかったのであります。  という個人的な感情は置いとくとしても。  このストーリー、感情移入しながら見るには筋が通らないところが多すぎるように思ったことは指摘しておきたいです。  妻が死んだ。1年後の梅雨の季節に、妻と瓜二つの人物と出会った。いや、いくら「雨の季節に戻ってきます」と言い置いて死んだからといって、死んだ妻が本当に戻ってきたと思って平然と生活を続ける人がもしいたら、その人は相当ヤバイですよ笑。普通は、外見が非常に似てはいるけど別人だと考え、警察に届けなきゃ駄目です。記憶を失ってるのをいいことに家に連れ込んで、死んだ妻の記憶を植え付けようとするなんて、そりゃ犯罪です。もしそれが本当に別人だったと後でわかったら、どうするつもりだろう?  死んだ奥さんと瓜二つの人物がいつの間にか同居してるのを近所の誰も気づかないまま梅雨明けまで過ごすなんていうことも、現実にはまあありえません。奥さんの死は偽装だったとか、得体の知れない女性を連れ込んでいるとか、まあありとあらゆる噂のネタになって大騒ぎです。  この映画には、そういう現実感覚が完全に欠けている。全体がまるで現実味のない夢物語で出来ている。  私もファンタジーやおとぎ話は大好きです。ただ、ファンタジーならファンタジーらしく、現実を完全に忘れさせて没頭させて欲しいです。現実世界の離婚騒動をそこらじゅうで思い出してしまうようなファンタジーは、御免被りたいですね。

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