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ポルノ・スター ロン・ジャーミーの伝説 (2001)

PORN STAR: THE LEGEND OF RON JEREMY

監督
スコット・J・ギル
  • みたいムービー 1
  • みたログ 6

3.00 / 評価:3件

“ビデオキルザポルノスター?”いや…

  • 真木森 さん
  • 2007年11月4日 11時22分
  • 閲覧数 831
  • 役立ち度 11
    • 総合評価
    • ★★★★★

 噂には聞いていたこのドキュメンタリー。私も昔から米国ハードコアの事情に精通している者なのでこういう企画は嬉しいのです。残念ながらドキュメンタリーとしては少し弱く、もう少し広い階層に取材をして欲しかったところですね。例えば80年代初頭に彼と仕事をしたアクター、アクトレスの面々の生の声がファンとしては聞きたかったです(J.レスリーとかセカ、そしてそれこそ彼にクン@リングスの何たるかを教えたと本編中で紹介されるN.ハートレーなら出演を快諾してくれたものと思うのですが)。まあそれでも映像の中だけではありますが久しぶりにG.リンの姿も見る事が出来たし、見たことがなかった元カノ、タマラ・ロングリーのレア映像も流れて満足です。ロン・ジェレミーが若かった頃のスリムな姿、子どもの頃・学生時代の写真も見られて、「ある知られざる有名人の一代記」としてはなかなかの出来映えです。
 今回の映画で初めて彼がユダヤ系だと言うことも知りました(ずっとイタリア系だと思っていた)し、何とまだ独身だったと言うことも知りました。色々な雑誌で「ケチだ」「意地汚い」「ギャグがつまらん」と罵られているのも知っていましたがそれは実像だったんですね。でもかえって彼に対する愛着が生まれましたよ。コンビニの袋を手にさげながら車に乗り込もうとする姿はどこからどう見ても普通の米国人のおっさんですし、パーティーに現れては仕事のタネを探し、そして有名人と一緒に写真を撮っては友人にそれを自慢するなんてミーハーで陽気なアメリカ人そのもの。旨いものも女性も好きだなんて世のオヤジ族の願望を見事に体現していますし、確かに全く笑えない下ネタをステージ上でもったらもったらパフォームする姿はイタいのですが、でも職場にもこういう感じでオヤジギャグを飛ばしてはガハハ笑いをしているおじさんは我々にとってもおなじみですから全く憎めないのです。それにかえって学生達に「ロン・ジェレミーだ!」と取り巻かれて、何となく気恥ずかしそうにしながら笑っている姿に彼の本質を見ましたよ。
 そしてこの作品では彼がしっかりしたプロの俳優であると言うことも様々に描き出します。70~80年代から活躍しているのにドラッグもやらず、そして今ではいい歳になったというのにバイアグラに頼らず、そして娘ほどの女優が自分よりずっと良いギャラをもらっているというのに地道に仕事をし、そして驚異的だったのはちゃんと撮影に合わせてカムショットが出来るという職人技。その一方でポルノ界の人間に対するハリウッドの過剰にも思えるような拒否反応にもめげずに汚れ役を引き受けてこまめに出演する愚直な役者根性に敬服。確かに私も『オーガズモ』にロン・ジェレミーが出ているのを見て仰天した覚えがあります。それにラップの曲を出してプロモーションビデオまだ作っていたんですね。歌が上手いのでこれまたびっくりしましたよ。こんな陽性なところが「ラテン系なのかな」と私が長年誤解していた理由です。
 作中でもある関係者が「70年代後半から83年の米国ポルノは素晴らしく、良くできたB級映画の価値を持つ」と語っていましたがまさしくその通り。私も日本でビデオショップが行き世に普及した時代にその頃の洋ピンを浴びるほど見ましたが、例えばH.パシャードやA.スピネリ監督作品のようにしっかりした「映画」は幾つも存在し、いつの間にか私も「女性と男性が対等に対峙する性交」などといった世界観をたたき込まれたものでした。でも残念ながらビデオ時代の突入とともにそういう骨のある作品は姿を消していき、実用そのもの・ただ動物的な性交の姿を描き『インサイド・ディープスロート』では「グロテスクの域に辿り着いてしまった」と述懐される様相を呈しています。そしてそんなビデオ時代、80年代末から90年代前半にかけて粗製濫造の「ただやりまくるだけ」糞ポルノを取りまくったビル・ブラックマン監督は誰あろうロン・ジェレミーその人に他ならないのです。彼はポルノ業界の存続に寄与した功労者ではありますが、業界の堕落にも大きく関与した功罪ある人でもあるのです。
 本作では彼のそう言う部分は描かれません。あくまで2000年代の今現在の眼差しで、20数年のキャリアを持つ「普通の米国のオヤジ」である大ベテランの姿を余計な思い入れなく、しかし愛情を持って活写する佳作です。確かに彼がここまで長くやって来られたのは、風采の上がらない感じが世のポルノ愛好階層の人達に共感と勇気を、そしてセックスとは陽性の行為なのだというメッセージを期せずして与えていたからなのだと思うのです。そして彼は恐らくは史上最も多くの女性とセックスをした男性になりました。こんな人物を生むことが出来るアメリカという国の奥深さに改めて感じ入ります。また普通映画の中に彼の姿を見つけて密かな喜びたいものですね。

詳細評価

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