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爆裂都市 (2004)

EXPLOSIVE CITY

監督
サム・レオン
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3.17 / 評価:6件

映画を救った主演のふたり

  • lamlam_pachanga さん
  • 2010年7月7日 9時01分
  • 閲覧数 371
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

アレックス・フォンとヤムヤム(サイモン・ヤムのこと)が共演したサスペンス・アクションと聞けば、香港映画好きを自認する者として見過ごす訳にはいかない。香港映画界きっての演技派と個性派が激突する映画。それが、面白くない訳がないと言う、(全く何の根拠もない)妙な自信もあった。

結果は、見事なまでに自爆(涙)

言い訳をすると、ソニー千葉としらたひさこと言う、どうにも凸凹な印象を与える日本人俳優ふたりの出演と、製作に日本が絡んでいることで、一瞬だけ不安を抱いたのは確かだ(過去、日本との合作で面白かった映画はほとんどない)。でも、上記の大物ふたりの共演作と言う事実が、私の頭からその不安を消し飛ばしてしまった次第。

本作、『爆裂都市』の監督はサム・レオン。この人の映画だと、私は『完全なる飼育 香港情夜』くらいしか観たことはない。邦題ほどに悪くない映画だったと記憶しているが、さりとて特に印象に残るものもなかった。実はこの『完全なる飼育』シリーズを例に挙げるまでもなく、サム・レオンは日本に縁がある。『爆裂都市』を観るまで知らなかったが、この人、80年代にあの横浜放送映画専門学校(今村昌平が設立。現・日本映画学校)に留学経験がある。

それを知ると、『完全なる飼育 香港情夜』での監督起用、そして『爆裂都市』の製作に日本が絡んだことや、日本人俳優を起用したことは合点がいく。

但し、それ(合作)が映画に貢献しているかどうかは、全く別の話。

私は、映画の筋が「面白くない」と判断した場合、その映画の「良いところ」を無意識に探す癖がある(本当に面白い映画だとこんなことを考えもしない)。監督の演出でも、役者の演技でも、或いは特殊効果、撮影、台詞等々・・・ひとつでいいから、とにかく夢中になれるものを探す。そして、余程の映画でなければ、その「良いところ」が皆無と言う映画はない。何かひとつでも満足出来るものがあれば、個人的には、その映画を「駄作」とは呼ばないが、だからと言って、それは他人にすすめられるものではない。

『爆裂都市』は、その「良いところ」が本当に少なかった。

サム・レオンの演出は、スタイリッシュに見せることに腐心した様に感じられるが、前半飛ばし過ぎたのか、物語が佳境に入る後半には失速する。ソニー千葉の存在は、映画全体のトーンから浮くほどに座りが悪い。しらたひさこはその逆で、(彼女なりに頑張ったとは思うが)やはり他の俳優と比べると存在感の希薄さが目立つ。

だが何よりも酷いのは、サム・レオン自身による脚本。

本作の物語はバカバカしいほどに複雑で、そのキャラ造形にも胸に迫るものがない。その理由は、説得力不足の一言に尽きる。この映画のキャラたちは、それぞれに複雑な事情を抱えているのだが、劇中説明されるのは表面的なことばかりで、本質に及ぶ描写が全くない。その「人となり」に説得力を与えているのはあくまで役者個人の力と言える。

本作の見所は映画冒頭の10分間のみ。本当に短いその時間の中で、アレックス・フォンとヤムヤムが放つ存在感は、大袈裟でなく「流石」の一言に尽きる。途中からはその熱演振りが逆に痛々しく映るのだが(これは監督の責任)、この瞬間の彼らふたりがいなければ、この映画は悲惨なことになっていたと思う。

素晴らしい脚本を手に出来れば、無名監督であっても名作を生むことは出来るかも知れない。だが、脚本が出鱈目な場合、どんな名匠であっても名作に仕上げることは不可能だと、私は思う。それは役者とて同じことなのだ。

サム・レオンは、アレックス・フォンとヤムヤムに感謝すべきだろう。万人が「駄作」と評しかねないこの映画を、すんでのところで救ったのは彼らふたりの演技力以外にはないのだから。そして同時に、反省すべきだ。彼らふたりを手にしながらこの程度の映画しか作れないのなら、その監督キャリアは先が知れている。

でなければ、いっそアルバート・ピュンを目指すべきだろう。

それが正しい判断かどうかは、私には解らないが(笑)

詳細評価

物語
配役
演出
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音楽

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