ここから本文です

BELLY 血の銃弾 (1998)

BELLY

監督
ハイプ・ウィリアムズ
  • みたいムービー 1
  • みたログ 19

2.00 / 評価:5件

とっても格好いいが、やはり虚しい映画。

  • sleepy spirit さん
  • 2011年10月6日 4時58分
  • 閲覧数 717
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

個人的なことを申しますと、この作品は、1999年くらいにアメリカで公開される前からホームページをチェックしていて、この作品の情報に飢えていたのですが(僕はその頃、MTVばかり観ていたので、ヒップホップのミュージックビデオの超売れっ子のこの映画の監督、ハイプ・ウィリアムズに注目していました。)結局日本では公開されず、観る手段を探していました。
それが、3年(?)くらい前、レンタルビデオ屋に並んでいたので、おお、出たのかと思いました。でも、その頃には、ミュージックビデオ出身の監督というのはおおむね駄目という経験則(ちゃんと観てから判断していないのが、僕の悪いところですが)があったし、「血の銃弾」というサブタイトルが禍々しかったので、借りませんでした。
ところが、ブックオフで輸入版のVHSが非常に安い値段で売っていたので、この度手に入れた次第です。

端的に言って、映像はすごく格好いいと思います。耽美的というか。
ですが、映画として観て(もちろん字幕がないので、完璧というか、特にブロークンイングリッシュが苦手なので、セリフをいちいち理解できていないのですが)、結構、最悪(笑)というか。
全然、展開が躍動しないというか、一枚一枚の画を完璧に撮っても(編集もこれまた耽美的で気持ちがいい部分もあるのですが)、活動写真と言うくらいだから、イメージが生きてこない。血が通った感じがしないと僕は思いました。まあ、主演二人がラッパー本業の人だから、セリフ回しがもっさりしているというのもあると思います。鑑賞者を覚醒させるかのように、キャラクターが立ってくるということがないように思います。

ただ、ラストの風景にはちょっとうっとりしました。
結末自体、決して暗いものではないので、その希望みたいな部分とラストの映像がシンクロするようで、この監督は単なるセンスだけではいけない、殺伐とした筋の中にも、何か希望を盛り込みたいと、自分なりに一生懸命考えたのではないかと思え、その部分は、ミュージックビデオ、CMディレクターの自己満足ではいけないと思ったんじゃないかと感じました。

ヒップホップ、ギャングスタの映画にしては、審美眼の備わった作品なのでは、と実は思いました。
ただ、やはり物語自体は、深刻ぶっていて(実は少し浅薄)浮世離れしていると思います。シットコムのような、陽気な笑いが少しでもあれば、救われたと思うのですが。それに、黒人のギャングの話なら、貧しくて行き場のない少年、青年の問題は抜きにして語れないと思うのですが、そういう問題意識が希薄で、金持ちのギャングの特権的な話(これまた邸宅やファッションのハイブロウ感がすごくて、そこにかなり金がかかっていると思いましたが)になっている側面が少なからずあると思います。主人公たちが今までどんな苦労をして、一応のハッピーエンドにつながるのかというところを描く必要があるように思います。

一番思うのは、確かに少し明るいラストにしたのは、良かったと思いますが、こういう映画を観て、安易に心ある映画(または人間)とはこういうものだと思い込まないことが大事だということです。(ふてぶてしい態度でヒップホップ文化を体現するのが必ずしも悪いということではないと思いますが。)

特に、ヒップホップのギャングスタに安直に憧れる人が多いと思いますので、この人(主人公)たちの感覚は、かなりずれてるぜ、もっと冷静に批評眼を光らせてみる人が実は結構ごまんといますよ、とわかっておかないと、単なるバカアメリカかぶれの日本人になる、と言っておきたいと思いました。

結局、予想通り、ミュージックビデオ畑の人は、いくら多少自覚していても、メッセージ性、ドラマ性、ひいては人間というところに肉薄する感覚、または知性というものが足りないという結論になる作品ではあったかと思います。

ですが、特権的で、そうは言っても自己満足から脱しきれなかった映画だとしても、下ネタが案外少ないというか、ある種の品性(前述での審美眼と近い感覚で僕は捉えているのですが)があり、それが監督の考える良心ともどこかリンクしているようで、案外、ヒップホップの悪い側面に染まりきっていない人なのかなと思いました。

もし、また映画を撮るのなら、コメディ要素(古き良き時代の、またはそれを引き継いだような)をもうちょっと取り入れてはどうかなと思いました。

映像の力は感じたので、脚本を気取りを捨てて、臨んでください。
(これを書いている途中で調べたら、次回は「Lust」という作品だそうです。)

と思った次第です。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • かっこいい
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ