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エンジェル・アット・マイ・テーブル

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5.0

ネタバレジェーン・カンピオン最高傑作

ニュージーランドの作家ジャネット・フレイムの自伝を映画化した珠玉の2時間40分。 2時間40分といっても、3つの章からなる非常に見やすい作品だ。 カンピオンは「ピアノ・レッスン」や「ブライト・スター」など素晴らしい作品が多いが、この映画もまた映画史上に残る素晴らしい女性映画だと思うよ。 「ピアノ・レッスン」が海のイメージからはじまるように、この作品もまた海のイメージを持つ。 だが、「エンジェル・アット・マイ・テーブル」の冒頭は緑の芝の中を貫く1本の道から始まる。 自然豊かな自然、動物達の声。 「ブライト・スター」ほどじゃないが猫も出てきます。 幼いとはいえ、彼女も立派な女の子。 瑞々しい心理描写には息を呑む。 列車は彼女の人生が旅そのものでもある事を示す。 女性がスパッツ常備なところも良い。目のやり場に困らない(おいコラ)。 JKもスパッツor短パン常備はJK。 12歳のアベックには驚いたが、世の中11歳で子供産んだ母親だっているし問題ないですね(いや待てよ)。 ジャネットの少女時代から学生、大人の女性へと徐々に成長していく物語。 明るい子も入れば仏頂面の子供もいる。 ジャネットも成長すればするほどどんどん垢抜け、美しい女性へと成長していく。たまに幼少時の面影が出たり消えたり。 先生が教卓で話している時に一瞬映った“剣”は何を象徴しているのだろうか。 成長した少女達の青春、タンゴで踊り狂いたくなるほどエネルギーに満ちる姿。 「オ・レ!」 後の「オレっ娘」である(違います)。 穏やかな日々、突然の死、涙、初潮、過去との決別・・・。 再び画面に映る列車は、彼女を次の場所へと運んでいく。 初恋?とつまみ食い、不気味な森、ショックで自殺未遂を図る衝撃。 だからっていきなり精神病院はもっと悪化しそうだけどどうなの? いい加減な説明を鵜呑みにしてしまうのだから、相当ショックが大きかったのだろう。 虫歯を放っておいたら全滅、ベッドに拘束、200回目の電気イス、ロボトミー・・・よく無事に帰ってこれたなジャネット。延々と続くかのような苦しみと恐怖を、観客も体験する。 自分を救ったのが、思いを綴った小説だったとは。妹GJすぎる。 余りに精神的に繊細で脆かった彼女も、様々な経験を経て自分を変えていく。良い意味で“わがまま”な彼女は、もう他人の言いなりにはならないし、誰も彼女の想いを止める事はできない。 奪われた8年間を返せと恨むでもなく、彼女は溢れんばかりに想いを込めた小説で自分の心に溜まったあらゆる物を吐き出すのだ。 久しぶりに外に出た彼女は、家族と再会し、やがて誰にも縛られる事の無い海のある開放的な町を目指す。 故郷にも海が拡がっていたが、もっと広い広い場所へだ。 美しき母のような海原は、ジャネットが恋に落ちやがて母親になる事を暗示しているかのようだ。 「ピアノ・レッスン」のエイダもまた一児の母だった。 再び故郷に戻る彼女。その表情には、もう精神病院に送られてしまうような心の弱さを感じない。 一人の強い女性としての彼女がそこにはいる。

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