ご立派過ぎる左膳
- 百兵映 さん
- 2013年8月28日 18時35分
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やれやれ、この『丹下左膳』はどうしたものかと、ユーザー・レビュー欄を見ると、ここは空っぽだった。驚いた。
今更丹下左膳でもあるまい、ということか? いやいや、同じ年に公開された豊川悦司版『左膳』には11件のレビューが寄せられているのだ。左膳に関心が無くなったということではない。
中村『左膳』がTVドラマだったから、映画としてはレビューするに値しない、ということか? ひょっとしたら、そうかもしれない。
『左膳』シリーズの中では、殺陣の振る舞いは本作が一番。切れ味がいい。凄味がある。 右目の傷痕は本作『左膳』が一番リアルに作ってある。リアルというより派手に、そして美しく作ってある。お茶の間のTVにアップで映すための細工であったろう。しかし、隻眼隻腕というハンディキャップをそれほど強調する必要があったろうか。
『左膳』の魅力は、隻眼隻腕というハンディを超えた剣の技にあるのではない。社会に対してちょっと斜に構えながら、腕は立つけどチョイ悪でちょっとだらしない庶民的ヒーロー性にある。これまでの『左膳』シリーズ(Yahooデンタルで観れるのは本作を含め6本)では、その“庶民性”と“ヒーロー性”のバランス感覚に腐心している。
同じ年に公開された2本の『左膳』で、豊川『左膳』は、定番?大河内傅次郎演ずる『左膳』の“庶民性”を忠実にリメークしている。こちら中村獅童版は“ヒーロー性”を強調している。どちらが好きかはそれぞれの好みで決めるしかない。
土台となった小説はいざ知らず、映画の『左膳』は“庶民”のヒーローであって欲しい。それは、定番・大河内版で勝負あり。―― と、これは私の好み。
“好み”のついでながら、1番いいのは大河内左膳、2番が大友左膳(子どもの頃に観たのがこれだったから)、3番は豊川左膳(大河内にもっとも忠実)。あくまで、私の好み。
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