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チーム★アメリカ/ワールドポリス (2004)

TEAM AMERICA: WORLD POLICE

監督
トレイ・パーカー
  • みたいムービー 43
  • みたログ 368

3.85 / 評価:131件

冗談なしにセンスがいい。集大成を感じる。

  • my******** さん
  • 2018年10月10日 8時45分
  • 役立ち度 3
    • 総合評価
    • ★★★★★

大学生時代に劇場で鑑賞。久しぶりに見返して見たら改めて出来の素晴らしさに気づきレビューを書きたくなってしまった。「サウスパーク」のトレイ・パーカー監督の集大成的作品。やりたい事を全てやったのではないでしょうか。

まず、パペットという選択肢が素晴らしい。「サンダー・バード」を彷彿させる人形劇だが、クオリティが非常に高い。精巧に作られたパペットのリアルな表情表現。そしてズルいとしか言いようがないパペットを利用した笑いの数々。とくに、セリフを使わずパペットのビックリしている表情だけで感情を表す手法が何度も使われているのだが、毎度笑ってしまう。生身の人間ではないからこその面白さがたくさん詰まっている。細かく作り上げられた大規模セットや小道具、仕掛けを見て、普通に無名の俳優を雇った方が安くすんだのでは?と考えてしまう事も笑えてくる。

チーム☆アメリカという「どこの国の揉め事にも積極的に関与しに行って荒らしてくる」というアメリカ政治への風刺を込めたメタファー。「細かいことにはこだわらず結果よければそれでいい」という信念が何でもかんでも破壊してしまうアクションに表れていて、絵的にもダイナミックに皮肉な可笑しさが溢れている。また、舞台となる各国の名前がテロップで出るのだが、どの国にも「アメリカから○○マイル」と出てくるのも地球はアメリカ中心であるという事、そして外国語もアメリカ人がイメージするテキトーな可笑しな言葉というのも、アメリカ以外軽視という皮肉が感じて面白かった。

映画としても作りかたがとても上手い。ただの下品な映画のように汚い言葉を乱射するだけでなく、展開でも笑わせてくる。セリフの「terrorize this!」や「911の○倍」、スポッツウッドへの奉仕、チ○コとマ○コとア○ルの関係など、挙げればキリがない程に前振りが散らばり後半に活かしてくる。そのシーンの組み方は日本のお笑いの漫才の要素(前に出したネタを忘れた頃に持ってくるなど)を感じて、実は繊細に作り込む監督のセンスを感じる。そして「演技力で解決はチートだろ!」という意見をねじ伏せるように「スター・ウォーズ」ネタをばら撒き、同じくチートな「フォース」を掛け合いに出している所も監督の皮肉が伝わってくる。

カメラワークもパペットなのに、他の映画同様にちゃんとパペットを俳優として意識したカメラワーク。ちゃんと人間として撮ってますよと言わんばかりの「俳優」のアップショット。それがミニチュアの世界で撮られていると想像するだけで可笑しい。

一番笑ったのは、やはり嘔吐シーン。あれは本当に卑怯。傷ついてボロボロになったヒーローがそれでも立ち上がらなければならないというような感情に迫る音楽と止まらない嘔吐。ゲイリーの迷いを全て吐き出してるかのような文字通りの演出に使い方のうまさを感じる。吐き出してもなお止まらず、おなら混じりの下痢のように最後の最後まで目を見開きながら嗚咽している姿…。腹立つパペット(笑)。人生の中で一番声を出して笑った映画に君臨してしまっている。

「サウスパーク」同様にミュージカルに力をいれた音楽が非常にいい。音楽を担当したハリー・ウィリアムズ。初めて経歴を見たが、大ヒットしている映画ばかり手がけている。監督がつけた歌詞もどれもすばらしいが、特に「AIDSの歌」はもう本当にその通り!「他人事じゃねーよ!」と言わんばかりで大好きだ。そしてキム・ジョンイルの歌は「監督は彼をそう見てるのか」と深さも感じた。確かに独裁制と孤独、誰かに認めてもらいたいという気持ちって繋がるのかもと真面目に考えてしまう。

出来が良すぎて冷静に普通の映画として見てしまうからこそ感じたのだが、ゲイリーが復帰する際のスポッツウッドへ奉仕するシーンはちょっと長いかな…。しつこい。彼への奉仕の前振りはあるし、ゲイリーが復帰しなければストーリー進まないしってところで、もうやらなきゃいけないと決まっているので、もったいぶらせるやりとりは唯一いらないと思ってしまった。ただスポッツウッド自体は「X-MEN」のプロフェッサーXのような「ザ・ヒーローのリーダー」を意識した存在で面白かった。

「可笑しいだろ?でも俺にはこんな感じで映っている」とアメリカに対してのメッセージが強く詰まった映画だった。そのメッセージを風刺としてブラックコメディに乗せる監督の手法としては集大成の作品だと思うし、これ以降、監督は制作欲がわかないと語っている事もその証だろう。ただ、監督の抜群のセンスに魅せられてしまったせいで続編が見たくなってしまう。

詳細評価

物語
配役
演出
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音楽

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