レビュー一覧に戻る
タッチ・オブ・スパイス
2005年2月5日公開

タッチ・オブ・スパイス

A TOUCH OF SPICE

1072005年2月5日公開

ysk********

4.0

ネタバレからみあうスパイスの香りのむこうに

先日「そして、私たちは愛に帰る」でトルコ×ドイツの深淵を覗き見た。 今日はトルコ×ギリシア。 トルコという国、イスラム教とキリスト教が軒を接する地、 北はロシア、南はアフリカ、西にヨーロッパ、東にアジア、 四方からそれぞれの文化が、そして国々の思惑があがりこむお土地柄。 各種スパイスの香りが複雑にからみあい、たちのぼる・・・ といえば素敵な響きを感じるけれど、 国々の力に翻弄され引き裂かれてきた歴史を思うと胸がきしむ。 スパイスや食材を商う、教養豊かな祖父に幼い頃から薫陶を受けて育った 感受性豊かな少年。 祖父の店の屋根裏がお気に入りの場所。 スパイスの効用を身につけ料理に興味を持ち、 料理の得意な坊やとしてすくすくと育つが やがてキプロスを巡るトルコ=ギリシア間の紛争が激化し、 ギリシア国籍の少年の父はトルコから強制退去の命を受け、一家でギリシアへ。 トルコ国籍の祖父とはまたすぐ会えるはずだった、しかし、 永い年月を経て少年が中年になっても、トルコの地は遠かった・・・ 終盤、 トルコに住んでいたときに恋した少女に中年になってからようやく出逢えて、 話す二人が、英語で喋っている。 え?なんで英語?と思ったけれど、あぁ、そうか、 トルコを離れてギリシアに適応しなければならなかった少年、 トルコに残った彼女のほうにも三十数年のうちに様々なことがあったのだろう、 その年月を越えて再び逢えたときに二人の間に交わされた言語が 英語であったということが、ひどくせつない。 ギリシア人であるがために住み慣れたトルコから追い出されたというのに ギリシアに於いて「トルコ人」と呼ばれざるをえなかった、 あまたのギリシア人たちに想いをはせる。 それにしても・・・ シナモンてあんなにどっさりお料理に入れるもの!? ミートボールに、わたしもシナモンを入れるな、だけどほんのちょっぴり。 むしろナツメグをきかせるのがわたし流だった。 だけど、「鰹と昆布、醤油と砂糖」一筋で育ったダンナの口にはあわなくて、 結婚してからはスパイスも料理には殆ど使わなくなったなぁ・・・ 塩胡椒、せいぜいジンジャーやガーリックくらい。 太陽系とスパイスを対応させてスケールのでかい話をきかせてくれた、 少年のおじいちゃんに「宇宙はこんなに狭くない」って怒られそう。 久々に、思い切りスパイシーな異国情緒溢れる料理を食べてみたくなりました。 少し苦いかもしれないけれど、その苦さをも味わおう、 広い広い世界を味わう民に想いをはせて。

閲覧数569