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ミリオンダラー・ベイビー
2005年5月28日公開

ミリオンダラー・ベイビー

MILLION DOLLAR BABY

1332005年5月28日公開

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5.0

ネタバレ鑑賞後に意見交換したい名画

映画『ロッキー』女性版を連想させるボクシングの成り上がりストーリーかと思われがちだが、この映画の根底には尊厳死という重いテーマがあり、宗教や政治思想に対して、各方面からの賛否をも生み、当時の社会問題にも発展した経緯を持つ映画である。 貧困、そして家族からの愛情も希薄で虐げられてきた人生を歩んでいた主人公のマギーは自分の存在価値を証明するために薄汚れたボクシングジムの戸を叩く。オーナーのフランキーは多くの優秀なボクサーを育成してきた経歴があったが、今は落ちぶれて家族もいない孤独で不器用な老人であった。フランキーと同様に孤独なマギーの唯一の居場所はボクシングジムであり、毎日欠かさずジムに通い練習に励んでいた。真面目にボクシングに取組むマギーをフランキーは認め、彼女へのコーチを始める。マギーはフランキーから熱心にボクシングの技術を学び、師弟との絆も次第に築き、公式な試合にも出られるような資質をそなえるようになる。ここまでは貧困からの脱却を実現した女性ボクサーのサクセスストーリーだが雲泥の如く展開が一変する。 マギーは勝ち続け、フランキーもトレーナーとしての自信を取り戻し、二人は実の親子のように信頼しあう関係となる。マギーの試合ぶりが有名になり、多額な賞金がかかる試合を受けることになる。その対戦相手は反則を平気で犯す評判がすこぶる悪いボクサーであった。優位に試合進めたマギーであったが、ラウンド終了後に反則パンチを受け、頸部を強打し、頚椎骨折により、全身不随になってしまう。一生寝たきりの生活へと変わってしまう。 ここから先の展開は皆さんがぜひご覧になっていろいろと考えてほしいと願います。 マギーの自暴自棄の気持ち、フランキーの悲哀と憤怒と絶望。とにかくこの二人に感情移入してしまいます。鑑賞後に生と死をテーマにした真面目なシンポジウムを開催しても問題ないと思うほど。 クリント・イーストウッドはこの映画を創り不動の名監督の地位を築き上げました。

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