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海を飛ぶ夢
2005年4月16日公開

海を飛ぶ夢

MAR ADENTRO/THE SEA INSIDE

PG121252005年4月16日公開

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5.0

ネタバレ繋ぎ止める鎖を断ち切り、内なる海へ

MAR ADENTRO  (2004:スペイン/フランス/イタリア) 監督:アレハンドロ・アメナーバル  主演:ハヴィエル・バルデム  第77回アカデミー賞〈外国語映画賞〉受賞。    実話に基づく   事故により四肢麻痺障害となり二十数年、尊厳死を望む男の人生の最後と、その周囲にいる人々の人間ドラマ。 尊厳死で亡くなった主人公ラモン・サンペドロ氏の手記を元に製作。 本編中プッチーニの『トゥーランドット』が使用されているが、プッチーニも晩年は病魔と闘った。 何から語ればいいか難しいが、 本作は尊厳死(安楽死)を推奨してる映画ではない。 法律的に難しいのも百も承知してる。 法規制を緩めればたちまち狼たちの思う壺。 尊厳死に見せかけ人を殺めることが容易になるからだ。 ラストの主観カメラによる【罪にならない程度の毒】のくだりは、観客に向けられ発せられた対テロ戦争へのメッセージとも解釈できる。 無意識と傍観、罪にならない罪。 ほかの方々のレビューも興味深く拝見させてもらった。 そして、作品の感想も自分なりに思うことがあった。 本作において、当方が最も感情移入できたのは、献身的にラモンの介護を行う義姉マヌエラである。 障害を持つ神父に言い放った言葉、今の自分の気持ちを代弁してくれているかのように思えた。 そして、夜中にうめき声で起こされる場面も・・・ まるで今の自分である。 私事だが、自分たち家族も【当事者】であり【少数側】である。 父は末期の肝臓癌で、高齢のため手術では体力が持たず手の施しようがない状態。 気休めにもならない処置の消化器官系の処方薬のみで余命を生きている。 そして、高齢の母は重度の認知症で、記憶が十数年単位で退行していっている。 家族の名前や家族の存在が認知できないほど。 本作は尊厳死そのもののテーマは、主人公であるラモンがその役割を担っているが、その周囲にいる人々にもスポットを当てられている群像劇である。 障害を負った息子が死を望むことに対して見せる父の悲しみ。 兄の悲しみ。 義姉の深い慈愛。 病魔と闘う女弁護士の愛。 シングルマザーの愛。 尊厳死団体との信頼と絆。 尊厳死を推奨してるのではなく、 彼の立場、意思、モデルケースがそうだったということ。 ちなみに、自分の父にはガンの告知は行っていない。 以前、人生に悲観して自殺をはかったからだ。 今は何事もないが、当方としては好きなものを食べさせ好きなようにやらせ、なるべく恐怖を感じない生活をさせてあげたいからだ。 残念ながら死ぬことは確定している。 だからこそ、精神的には生きる希望と平穏な毎日が続くように見守っている。 その点において兄家族の献身的な支えは、他人事とは思えない。 実話ベースであるからリアルな描写は当たり前だが、どこも同じような苦労なのだなと共感した。 もちろん、 当方の話も【実話】である。 全国に同様の立場の方々はいらっしゃることでしょう。 様々な状況、立場、金銭的悩み、法律的な悩み、いろんな苦労があるとは思われますが、幸せと平穏な毎日が訪れることをささやかながら祈られていただきます。

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