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海を飛ぶ夢
2005年4月16日公開

海を飛ぶ夢

MAR ADENTRO/THE SEA INSIDE

PG121252005年4月16日公開

4.0

どちらが正しいかなんて

どちらが正しいとか、間違ってるとか、そういう物差しで測りきれないテーマではありますが、全体通してラモンの悟りを開いたような清々しささえ感じさせる死への欲求は痛いほどに伝わってきます。 NHKで放映された「彼女は死を選んだ」というドキュメントも見ましたが、彼女もまた同様でした。 いずれ寝たきりになり、痛みや苦しみを薬でわずかに散らしてごまかし続けながら息だけをして生かされる事に尊厳なんてありはしない、と。 そんなのは生きているといえない、己の意思で尊厳をもって死にたいのだと。 ラモンも同じなのでしょうね。 死んだように生きることと、尊厳を持っているうちに死を選ぶこと、どちらが正しいかなんて裁判なんかで決められるような事ではないはず。 それでも社会は死ぬことを容易には許してくれません。 ラモンのような四肢麻痺の場合は幇助なしでは自殺する事もできない。 ただ、ラモンを取り囲む家族や裁判に向けて協力してくれる人々は皆純粋にラモンを愛し、必要としている事が伝わってきます。 生きてほしいと思っています。 この人たちのために生を選ぶことをしなかったラモンと、一度はラモンと逝く事を決意したと言っておきながら旦那さんの説得があったのでしょうか、フリアは生を選択しました。 対象的に描かれているとても印象的なシーンです。 どちらが幸せなのか、そんなテーマすら安っぽく感じてしまうもっと精神の根底に迫った問題だと思わされました。 話は変わりますが…ラモンを演じているのがハビエル・バルデムと気付くまで数分かかりました汗 ノーカントリーでの冷血無情の殺し屋役がどハマりしていて強烈なインパクトを残していたのでまさかこの柔らかなイメージのラモンが彼!?とびっくりしてしまいました。 名優ですね。 監督さんはあのアザーズも撮られたお方です、今後も期待大のお一人です。 …ラモンの最期、青酸カリはもっと、見ていられないほど苦しみもがくはずなのであそこだけは少し、こんなもんなら…なんて誤解してしまう人が現れないことを祈ります。

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