ここから本文です

エレニの旅 (2004)

TRILOGIA I: TO LIVADI POU DAKRYZEI

監督
テオ・アンゲロプロス
  • みたいムービー 52
  • みたログ 145

4.19 / 評価:53件

美しくも苦しい物語

  • bar***** さん
  • 2018年2月22日 12時02分
  • 閲覧数 371
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

エレニの旅。美しい2時間50分だった……が、しかしつらすぎる物語だった……。

最初から最後までエレニは世界の事情に振り回され、最後にすべての家族を失う。
ギリシャの現代史について知っておかないと、舞台で何が行われているのか理解することは難しい。説明がほとんどないので。あと気が付いたら時間がすっ飛んでいることがある。

始まりは恋人との逃避行から始まる。育ての親のスピロスが、半ば強引に自分の娘エレニと結婚しようとする。エレニは恋人のアレクシスと逃亡する(のちにエレニに大きな子どもがいたことが発覚するから、アレクシスがその時点で父親だったということになる)。
それからギリシャが何らかの戦争に巻き込まれていくということが明らかになる(詳しいことは説明されないから知識として知っておかないと何が何だかわからない)。労働者たちとファシストの戦いが激化してくる。仲間であるニコスが殺される(殺したのはファシスト?)。アレクシスはアメリカへ無事逃亡するがエレニは投獄される(ニコスを匿ったから?)。
そこからさらに月日が流れ、ギリシャが世界大戦に参戦することに。さらにギリシャ国内に内乱が勃発し、2人の息子はそこで死亡する。夫もアメリカ軍人となって沖縄で死亡するという……。

ずいぶんと長いストーリーだが、セリフはあまり多くない。ゆえに常に頭を働かせながら見ることになる。テオ・アンゲロプロス監督の作品は初めて見たが、素晴らしい。絵の美しさ、人物の撮り方、表現方法、すべて最高級品だといえる。

ただしこの『エレニの旅』は少し陰がある。もともと悲惨なストーリーとなっており、明るくしようがないのが当然だが、エレニやアレクシスのキャラクターが、どこか生き生きとしていないように見える。多分周囲の事情に翻弄されてゆく姿を主題として撮っているからだと思うが、それがちょっと行きすぎていてエレニとアレクシス(特にエレニ)の自主的な行動がまったくといっていいほどなく(あるいは描かれていない)、どこかキャラクターが不明確になっている。

現に私はエレニがどういうキャラクターだったのか問われても、「よくわからなかった」としかいいようがない。悲しみに打ちひしがれている綺麗な女性というほかない。
思い出したのは『風と共に去りぬ』のスカーレットで、あっちはエレニと正反対の女性である。スカーレットは創作としても、どちらが美しいかといったら、スカーレットだ。エレニはあがく姿がまったく映し出されていない、どちらかといえば「女性らしい女性」なので、漂う無力感がちょっとした不快感を生んでいる。

といっても、ギリシャの現代史にまったく詳しくない凡人の感想なので、的を射ていないかもしれない。そうしたらご容赦願いたい。作品としては満足して★5を点けられる出来だと思うが、どうしても気になった点を言ってしまった。アンゲロプロス監督の作品がなかなか見られないのは残念で仕方がない。もっと見たくなるような映画だ。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 泣ける
  • 悲しい
  • 絶望的
  • 切ない
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ