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地球最後の男

地球最後の男

THE LAST MAN ON EARTH/L' ULTIMO UOMO DELLA TERRA

86

黄昏の息子

5.0

恐い映画

 リチャード・マシスンの原作に、必ずしも忠実なストーリーとは言えませんが、しかし、原作者の意を汲んだ内容になっています。その意味では、リメイク版の「オメガマン」や「アイ・アム・レジェンド」よりも、数段、考えさせられるところがあります。  「アイ・アム・レジェンド」があまりにもハリウッド的なぶちこわし(駄作)なので、それを見た後でこの作品を見ると、「やはり最初が一番なんだ」と思い知ります。  最も恐い場面は、妻子がウイルス(この時代では細菌として描かれている)に感染し、娘は当局に連れ去られ(おそらく焼却された)、妻が病死してしまうところです。  主人公は愛妻を不憫に思い、人に見つからないように土葬しますが、その妻が蘇り、家のドアを叩く姿は、極めて恐ろしい設定でした。  回想シーンですので、元妻が主人公にしがみ付くところまでとなっていますが、この後、主人公はかつての妻の胸に杭を打ち込んだであろうことが推察されます。  感染死した人たちは、「吸血鬼」として蘇る設定ですが、むしろゾンビと呼んだほうが分かりよいです。この映画が、「ゾンビ映画の原点」とされるところは、かつての家族や仲間が、一旦死んだ後、すぐさま敵として現れるところで、この映画のすぐ後に、ロメロが「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」に反映させました。  マシスンの原作では、「この俺が伝説の怪物なのだ」と悟るところがラストシーンですが、この映画では主人公は心情を吐露することなく、新人類たちにより殺されてしまいます。  あっさりとした最後ですが、ウィル・スミスのように「人類を救う伝説の男」に変貌したりしないところが、逆に良かったのではないかと感じます。

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