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星になった少年 Shining Boy & Little Randy
2005年7月16日公開

星になった少年 Shining Boy & Little Randy

1132005年7月16日公開

koma18

4.0

「欠けたもの」と「埋めるもの」

実話だ。 「星になっちゃった」実話だ。 だから、柳楽優弥くんが出てきた瞬間から 「この子は死んじゃう」 「この子は死んじゃう」 「この子は死んじゃう」 と、自分に言い聞かせていた。 お陰で(何がお陰なのか?) 「死んでしまった」ところは 意外にあっさり見られた。 でもその後、お葬式でのゾウの行動に 涙がどぉぉ~! 後日、ドキュメンタリーで実際の映像を TVで見たが、本当にゾウがやっていた。 (何をしたかは、ここでは書けないけど) ゾウはすごいよ! きっと人間より立派なんだな、 と思ってしまうほど、ステキだった。 で、話は戻ってストーリーですが、 「真実は小説より奇なり」という言葉通り、 世の中にこういう人がいるのだな… と、びっくりする気持ちと、 なんとなく嬉しい気持ちが重なった。 まず「動物プロダクション」をやろうという両親がすごい。 見ているだけでヘトヘトになるほど 大変な数、そして様々な種類の動物の世話、 経費もかかるだろう。 そこで、母親の連れ子として暮らす少年、哲夢。 彼が「タイの象学校へ行って、象使いになりたい」 と言ったのも本当だし、行ったのも本当なんだなぁ…。 これもTVの映像で本物を見たけれど、 タイへ行ったときは、柳楽くんがやっていた役より もっと幼い、12才くらいだったと思う。 なんと言う意志、なんと言う情熱。 許した親もすごい。 タイって言ったって、バンコクじゃないし、 チェンマイ、山の中だ。言葉もわからない、 食べ物も虫や爬虫類みたいなものだ。 (そればっかりじゃないけど) 12才…何してたっけ?私…、 せいぜいアイドルの物まねくらい? 海外どころか、 たぶん、一人で市外に行ったこともなかった。 人が何かに強烈に引かれる時、というのは 自分の中に何かが欠けていて、 それを埋めるものに出会った時だと思う。 きっと哲夢は、「欠けたもの」も大きかったし 「埋めるもの=象」の存在も大きかったのだろう。 タイの場面で印象的だったのは、 母親象と引き離される時の小象の様子だ。 あの行動や表情は、 この映画の中で最優秀演技賞ものだった。 どうやって撮影したのだろう? 演技じゃないんだろう…、きっと。 正直言って、柳楽くんの演技の方は、 まだまだぶっきらぼうで、 細やかなところは完成されていない。 常盤貴子や高橋克実、倍賞美津子 それに蒼井優にさえ助けてもらっている感がある。 でも、しかし、あの目は、 やっぱり、彼にしかできない。 作品に恵まれていると言うか、 作品が彼を選んだというか、 映画の中で、彼も成長していっている… そんな気がした。 そして、哲夢という存在が 「欠けてしまった」お母さん、小百合さんは、 その後埋めるべき仕事に情熱を傾けていたという事実が、 また、しみじみ嬉しい。 短いけれど、やるべきことをちゃんとやって、 大きなものを残し、 今生きている人々をも動かしている哲夢くんの存在には、 その「死」の意味さえ、納得させられてしまう。

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