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春の雪
2005年10月29日公開

春の雪

1502005年10月29日公開

おやつ

5.0

近年稀に見る傑作

2005年公開当時、この悲恋の物語に感銘し3回も劇場に足を運んだ。 最近また観る機会があったが、またもや圧倒された。 現代の恋愛感に慣れていると、なかなかこの世界に浸れない人も多いと思うが、 私には刺さるものがありすぎて胸が苦しくなった。 この物語、中世ヨーロッパの悲恋物語「トリスタンとイゾルデ」に似ている。 原作者の三島由紀夫は、ワーグナーの楽劇好きだったので、トリスタンの影響を受けているのも充分考えられる。 この「春の雪」だが、「世界の中心で、愛をさけぶ」で大儲けした東宝が、行定監督にお金を存分にけけて作らせた映画。 行定監督もそれに応えるよう、渾身の力で製作。 懲りに凝ったカメラワーク。美しい映像。豪華絢爛たるセットや衣装など、 ここまで豪華な邦画は、この映画以降観た事がない。 最初から大正華族の世界に引き込まれる。 物語中盤の逢引シーンも、後半清顕が聡子に逢いたくても逢えないシーンも ワーグナー「トリスタンとイゾルデ」と重なり、 ワーグナーの壮大な音楽がかぶる。(私だけ?) 甘く悲しい物語。 評判はいまひとつで、万人にお薦めできる作品ではありませんが 私の中では、近年稀に見る邦画の傑作です。

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