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あらしのよるに
2005年12月10日公開

あらしのよるに

1072005年12月10日公開

shi********

4.0

ネタバレ現実味も含まれている素晴らしい作品

この作品のすごいところは、大人が見るのと子どもが見るのとでは解釈が違ってくると思うのですが、それを巧く利用しているところだと思うのです。 子供向けには美しい友情物語に仕上がっていると思います。ところが、いい大人が子供向けだという目で見てしまうと、現実感がないと思われるかもしれませんが、子供向けではない、大人が見てもちゃんと納得できるものだと真正面から向き合うと、実は現実感にあふれている、そこがすごいのです。 まずヤギと狼が仲良くなるというところから現実味を疑いますが、狼はちゃんと葛藤しています。友だちになることはこのお話の大前提なので目をつむるしかありませんが、決して現実を無視しているわけではないのです。 そこは百歩も千歩も譲ってしぱらく話を進めていくと、ヤギが雪山を越えようと言います。いやさすがにそれはないわと現実味が一気に下がりましたが、私は彼らは雪山を超えられなかったんだと解釈しました。雪崩の後、メイがガブを探して雪山を彷徨うとみどりの森に出会いましたが、その後、みどりの森と雪山が重なるようなシーンが出てきます。みどりの森はメイが見ている幻想で、現実はまだ雪山だったのだと思います。メイが春の野に倒れたのは、まさにそこで力尽きたのだと。その後はメイが見た夢物語なのかなと。夢の中で、二匹はいつまでも仲良く生きていける。 そもそも山を超えたところで、ヤギと狼がいつまでも仲良くしているってやっぱり難しいと思っていた私に、一番納得のいくラストシーンを見せてくれました。 でも子どもにはそんな解釈は伝わらないだろうし、現実を疑わないなら必要もない。現実味を求める大人だけが納得できれば良いんです。子供向けのように思われる作品に現実感を求めるこんな意地の悪い大人が見ても納得できるような仕掛けが施してある、この作品はすごい。 ダラダラと書きましたが、そうじゃなくても、ガブの描写は本当に素晴らしくて、単純に見ていても十分に泣けます。メイの声優がどうだという意見もありますが、成宮さんの単調な言い回しが、友情を盾にして相手を苦しめていることに気付かない呑気なクソヤギを上手に際立たせていると私は思います。人に勧めるかどうかは別として、私自身はこの映画を高く評価できると思います。

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