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あらしのよるに
2005年12月10日公開

あらしのよるに

1072005年12月10日公開

yh_********

4.0

子供の頃、ずっと気になっていた物語の続き

小学生の頃、担任の先生が大好きだと言って読み聞かせてくれた絵本がこの「あらしのよるに」でした。しかし、当時はあの小屋でメイとガブが出逢ってからの続きを聞かせてはもらえず、ある程度自分が成長するまでずっと続きが気になっていた絵本でした。 それが映画化、と知りすぐに見ました。 ヤギとオオカミが出会ったらどうなっちゃうのか…? あの頃頭の中で想像していた通りの景色が大画面に映し出されました。可愛らしくて、ちょっとよわっちくておっちょこちょいなメイ。そして、優しくてぶきっちょで、友情に厚いガブ。 あくまで児童向け絵本なので、細かいことはいいんです。種族を越えた愛とか、LGBTだとか、そういう大人の考察はいらない。 ただ、二人は友達でありたいだけ。ヤギだけど、オオカミだけど、ずっと一緒にいたいだけ。それでいいんです。 終盤でガブがかつての仲間たちに向かっていく姿は本当にかっこよかった。普段やんす~なんて言いながら、仲間からバカにされてたガブが、メイの為に「オオカミ」として牙を剥き出して闘う姿は本当に格好良かった。あそこだけで涙出る。 メイはメイで確かにイラっとくる部分は多々ある。時折、ガブを過剰に信用し過ぎているのでは?と思うし、雪山のシーンではここまで来て結局食われるんかい、と突っ込みたくなった。でもそれは、メイの弱さであって、その弱さがガブとは正反対の、「草食獣」としての弱さとして表されている気がする。立派な牙や鋭い爪もないヤギであるメイ。作中では覚悟はできてると言いながら結構弱音も吐いてるし、しまいには自分を食べてくれなんて言い出す。しかもそれがあのあざとくて貧弱な成宮さんの声がベストマッチしている。なんかドジだし気弱だし、イライラするけどどこか愛らしくてほっとけないメイは保護欲を掻き立てられる草食獣そのものだね。 対してガブは弱音を吐くことはなかったし、雪山のシーンではメイを食べるのも辞めて、オオカミたちに立ち向かっている。ある意味シビアな、大人にしか気づけない二人の獣としての現実が、メイのよわっちくてどこか情けない性格と、前向きで一生懸命なガブの性格に、皮肉にも反映している気がしてならない。二人の種族としての根本的な違いが、それぞれの性格に表されている。ガブは作中でも何度かメイを助けているし。 あの「あらしのよる」の出逢いは、他のオオカミとヤギじゃきっと成り立たなかった。他のヤギだったら出逢ってすぐに逃げ出してただろうし、他のオオカミだったら問答無用でメイを食べてしまってたかも知れない。あの二人だからこそおきた奇跡で、最後は乗り越えてまた再び出逢うことができたんだと思う。二人は出逢うべくして出逢った感がいいね。 この二人の友情は、初対面なのに簡単に仲良くなれてしまった幼い気持ちを思い出させてくれる。しかもまた「後日会いましょう」なんて言って約束して合言葉まで決めちゃって。小さな子供の頃の、ふわふわしていてワクワクした気持ち、そんなことを思い出させてくれる。 主題歌のaikoの「スター」もマッチしてる。お互いを思い合う二人にぴったりの歌詞なんじゃないかな。 「明日もちゃんとそばにいて」 あの二人らしいな、と思う。 そして音楽が本当に素晴らしい。冒頭の暗鬱としたメイパパの食べられるシーンから場面切り替わって壮大な音楽と、緑の山。序盤で子供がショッキングにならないように、あのタイトル画面で壮大感とワクワク感を持ってきたのはすごいな、と感じた。 最後のあのシーンをどう想像するかは、見た人次第だけど、幼い頃の私なら間違いなく、 メイとガブはこれからもずっとずっと一緒だ、と思うだろうな。

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