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世界 (2004)

THE WORLD

監督
ジャ・ジャンクー
  • みたいムービー 55
  • みたログ 114

3.92 / 評価:37件

どこにも行けない二人

  • カンクロー さん
  • 2011年5月21日 20時19分
  • 閲覧数 1153
  • 役立ち度 13
    • 総合評価
    • ★★★★★

そこで一日遊べば、世界一周を体験出来る。
各国の名所のミニチュアで出来たアミューズメントパーク「世界」で繰り広げられる群像劇。
世界と呼ぶにはあまりに小さいが、アミューズメントパークとしては広大な敷地面積を有するその場所で働く、一組の恋人同士に焦点が当てられる。

彼らを中心に繰り広げられる人間関係から、ささやかなドラマが見えてくる。
犬も喰わない痴話喧嘩。結婚につながる恋愛。つながらない恋愛。出世につながる恋愛もどき。
遠く故郷に家族をおいて働きにくること。
夢をかなえるための労働。
かなえたい夢が見つからないままの労働。
かなえたい夢が何だったのか忘れてしまう日常の繰り返し。

私にとってパスポートを作ることは少しも難しいことではない。
しかし、映画の彼らにとってそれは全く簡単なことではない。とても特別なこと。
皮肉にも、世界の縮図のような「世界」にありながら、そこを飛び出していくことが出来ない。
自らの足で、この「世界」に辿り着いたにもかかわらず。

時に、賑やか過ぎるほどのアミューズメントパークの喧騒やショウアップされた華やかなステージと、言葉ではいい表せないのに、確実に徹底的に存在する閉塞感との対比が見事だ。
たとえば文学や、その他のコンテンツでは表現し得ない、映画ならではのアプローチが確立しているように見えた。

日本での配給は常にオフィス北野が手がけてきた、ジャ・ジャンクーの映画。
ラストはまるで、あの映画のシニカルなパロディのようだ。
 俺たち(私たち)終わっちゃったのかな
まだ始まってもいない、と声をかけてくれる人はいない。
そして、パスポートがあったところで私自身の住む世界も、彼らの住む「世界」と同等に小さなものだと思い知る。
いつでもどこにでも行けると、ただ思い込んでいるだけなんだと。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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