ここから本文です

ヒストリー・オブ・バイオレンス (2005)

A HISTORY OF VIOLENCE

監督
デヴィッド・クローネンバーグ
  • みたいムービー 214
  • みたログ 1,476

3.61 / 評価:585件

解説

『ザ・フライ』の鬼才デヴィッド・クローネンバーグ監督が、「バットマン」シリーズで知られるDCコミックスのグラフィック・ノベルを映画化。「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズの勇者アラゴルン役でスターの仲間入りを果たしたヴィゴ・モーテンセンが、過去と現実の狭間で苦悩する一家の主を熱演。エド・ハリス、ウィリアム・ハートらオスカー常連の演技派が脇を固め、サスペンス色の強い濃厚な物語に深みを与えている。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

アメリカの田舎町でダイナーを経営するトム(ヴィゴ・モーテンセン)は、自分の店に押し入った強盗を倒し、人々の命を救う。その勇敢な行動がマスメディアに取り上げられたことで、トムの見覚えのない人物カール(エド・ハリス)が店にやってきてトムを脅しはじめる。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

「ヒストリー・オブ・バイオレンス」無垢な時代など、私たち人類は持ったことがない

 邦訳すると“暴力の歴史”。したがってそれなりに陰惨な物語を覚悟しておいた方がいい。とはいえ、「ミュンヘン」や「マンダレイ」といった同時期に公開中の作品も似たような暗さと悲惨さを持つ。それらを“エンタテインメント”と受け取るなら、これもまた十分に立派な娯楽作品となる。それにアメリカ映画は昨年の夏、「エピソード3」というとことん陰惨な一大エンタテインメントをリリースしたのだった。映画はかつてあったかもしれない“娯楽作品”の境界線を、どこかで確実に踏み越えてしまったのだろう。

 だからこの映画の主人公のように、ささやかな幸福を願う小市民の父親が、ある日突然、本人さえも意識しなかったような別の姿を見せてしまったとしても、それもまた、恐るべき事ではあっても、あり得ないことではない。もはやそのような時代に私たちは生きている。物語の最初の方で、彼の妻が彼に向かって「10代の頃に出会っていたかった」というような台詞を言う。しかしそこには戻れない、というのがこの映画のポイントである。しかも、その時代が良かったかどうかも分からない。無垢な時代など、私たち人類は持ったことなどない。だが、そこで生きてきたのだ。何かを踏み越えて、何かを犠牲にしながら。その痛みだけが、この映画を分厚く覆っている。それを現代の“娯楽”と言ってもいいように思う。(樋口泰人)

映画.com(外部リンク)

2006年3月10日 更新

本文はここま>
でです このページの先頭へ