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博士の愛した数式 (2005)

監督
小泉堯史
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3.73 / 評価:1044件

解説

50万部を超えるベストセラー小説を原作に、『雨あがる』『阿弥陀堂だより』の小泉堯史監督が映画化した感動のヒューマンドラマ。交通事故で記憶が80分しか続かない天才数学者の主人公を、小泉監督と3度目のコンビとなる寺尾聰が静かに力強く熱演。彼の世話をする家政婦に深津絵里、彼女の10歳の息子に子役の齋藤隆成。家族にも似た関係性の中で人を愛することの尊さを問いかける。彼らの心の機微を美しく切り取る映像美も味わい深い。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

元大学教授の数学者(寺尾聰)の家に派遣された家政婦の杏子(深津絵里)は、彼が交通事故の後遺症で80分しか記憶がもたないことを告げられる。戸惑う杏子だが、ある日、彼女の息子(齋藤隆成)と数学者が会い……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)「博士の愛した数式」製作委員会
(C)「博士の愛した数式」製作委員会

「博士の愛した数式」“晴明”という価値観に明確な輪郭を与える美しい映画

 とかく映画の中の数学者は、奇行ばかりが強調されがちだ。数式に対峙して内向する姿を表現する困難からくる、苦し紛れの演出でもあるのだろう。ここに描かれる数学者(寺尾聰)は、事故で記憶を80分しか保持できない。静かな格闘は行き詰る前にリセットされ、絶妙な設定と寺尾の枯れたキャラから際立つのは、数学の美しさに取り憑かれた純化した魂である。

 その魂に魅せられたシングルマザーの家政婦(深津絵里)と10歳の子供。自然界の法則を数式で表わす真理への心酔という絆で結ばれた、友情よりも、擬似家族よりも強固な関係性。原作を改変し、この子が成長した姿である数学教師(吉岡秀隆)が、生徒たちに向かって素晴らしき人物の逸話を話して聞かせる構成が活きている。吉岡の誠実な個性を形成した、括弧に括られた過去。それは「潔さ」や「清明」といった言葉に象徴される、こんな時代に忘却された価値観を尊重する心に明確な輪郭を与える。

 読む者に居住まいを正させるような原作者・小川洋子の凛とした文章は、小泉堯史の風格と品性を伴う演出によって見事に映像に転換された。泣ける映画や愛の物語などと呼ばないでほしい。これは、ただただ純粋に美しい映画である。(清水節)

映画.com(外部リンク)

2006年1月25日 更新

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