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ある子供 (2005)

L' ENFAN/THE CHILD

監督
ジャン=ピエール・ダルデンヌ
リュック・ダルデンヌ
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  • みたログ 956

3.69 / 評価:213件

いつのまにか大人になる私達へ。

  • pan***** さん
  • 2009年2月4日 16時21分
  • 閲覧数 278
  • 役立ち度 8
    • 総合評価
    • ★★★★★

僕らはいつ大人になるのだろう。

僕らはいつ子供でなくなるのだろう。

子供と大人の境界線は、どこにあるのだろう。



2005年カンヌ映画祭パルムドール大賞受賞作品。

作品全体を通して説明的なものが一切無く、BGMもない。

台詞が自然で、映像もとてもシンプルで、カメラは一貫してさまよい続けるブリュノを追っている。

そのせいか映画を観ているというよりもブリュノを見守っているような感じだったし、子供を売るシーンなどはとてもリアルに感じた。


主人公のブリュノとソニアがとても魅力的。

特にソニアを演じた映画初出演のデボラ・フランソワがよかった。

ブリュノとじゃれ合う様子は18歳の子供っぽさがあり、赤ん坊を抱き、どうしようもないブリュノを見つめる瞳は母親そのものだった。


ブリュノは自分の子供が産まれても職には就かず、子供たちを使って盗みをして、挙げ句の果てには自分の子を売ってしまう。

どうしようもない人間なのに、なぜか憎めず、心配になってしまう。

それはブリュノが持つまっすぐさのせいなのだろう。

そのまっすぐさは、性格や人柄ではなく、子供が持っているまっすぐさそのもの。

ブリュノは子供を使って盗みをするが、分け前をごまかすこともないし、いつも子供たちと同じ目線で話し、同じようにはしゃいでいる。

時間をもてあますと、靴に泥をつけて壁を蹴って足跡をつけたり、棒きれで川の水面に波を立てることに夢中になったりする。

そんなブリュノだから、それが善か悪かの判断もつかないまま、子供を売ってしまったのだ。


成人式に出る。結婚をする。子供が産まれる。仕事に就く。周りから大人と呼ばれる。

たぶん人生の中で、大人になるきっかけというのがいくつかある。

でもそれで急にその日から大人になるわけではない。

大人になる瞬間なんてない。私たちはいつの間にか、大人になっている。

きっと、人生の中に散りばめられた沢山のきっかけを受け止めていくうちに、階段を1段ずつ上るように、少しずつ、少しずつ、大人になっていくのだろう。


ブリュノがその沢山のきっかけの中のひとつを受け止めたラストシーンはとても素晴らしい。

ラスト数分で☆が1つ増えたのは確実。

このラストは、ハッピーエンドでもバッドエンドでもない。

きっかけを受け止めたブリュノが、そこから1段階段を上れるのかどうかは、結局このあとのブリュノ次第なのだ。

音楽のないエンドロールが流れた瞬間、それは「ブリュノ次第」から「自分次第」へと変わった。

題名である「ある子供」とは誰なのか。

ひとりの人間として、ひとりの母親として、自分を見つめ直したくなるいい映画だった。

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