13回の新月のある年に (1978)
IN EINEM JAHR MIT 13 MONDEN/IN A YEAR OF 13 MOONS
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破滅の人
- 一人旅 さん
- 2019年10月27日 9時53分
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- 総合評価
ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督作。
男性から女性に性転換した主人公の最期の5日間を描いたドラマ。
1982年に37歳で早世したニュー・ジャーマン・シネマの旗手:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーが原案・製作・脚本・監督・撮影・美術・編集を手掛けた自主制作映画で、孤独なヒロインをファスビンダーの盟友:フォルカー・シュペングラーが名演しています。
ある理由で男性から女性に性転換したエルヴィラを主人公にして、一緒に暮らしてきた男が家を出て行ってしまったことを機に、育ての親やかつて愛した資産家の男、別れた妻と娘を再び訪ね歩いていく主人公の魂の彷徨を見つめています。
ひたすらに愛を求める主人公に対して、彼と関わりのあった人々は何かと理由をつけて彼と距離を置こうとする。ただ誰かに寄り添っていてほしいだけなのに、そんなささやかな願望も叶わない主人公は次第に孤独の極致に足を踏み入れていきます。1974年以降ファスビンダーの愛人だったドイツの俳優:アルミン・マイアーが自殺を遂げた直後に撮られた本作には、その当時のファスビンダー自身の心情が多分に反映されています。ファスビンダーも本作の主人公エルヴィラと同じ様に、愛する人を失った深い悲しみの底にあったことが窺い知れる私的な人間ドラマとなっていて、劇中におけるエルヴィラの痛切な独白はファスビンダーの当時の心情をそのまま代弁しています。
性転換した主人公の不安、孤独、絶望そして破滅に至るまでの魂の彷徨を、彼を知る人々との関わりの中に見つめた哀情溢れる人間ドラマで、主演を務めたフォルカー・シュペングラーの中性的な名演が素晴らしいですし、マーラー、ヘンデル、ニーノ・ロータ等の使用楽曲にもファスビンダー監督の趣味と拘りを見出すことができます。
詳細評価
イメージワード
- 悲しい
- ロマンチック
- 絶望的
- 切ない
- コミカル