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13回の新月のある年に (1978)

IN EINEM JAHR MIT 13 MONDEN/IN A YEAR OF 13 MOONS

監督
ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
  • みたいムービー 21
  • みたログ 36

3.86 / 評価:22件

  • chu***** さん
  • 2018年10月29日 0時58分
  • 閲覧数 588
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

“ちょっと待て、性転換はちょっと待て“
すいません。とりあえず誰かに謝っときます。何故って、見終わった瞬間、これしか頭に思い浮かばなかったんです。でも茶化す気はないんです。まるで交通標語みたいですいません(汗)

1978年、西ドイツ時代の作品。
脚本監督美術撮影等まるっとライナー・ヴェルナー・ファスビンダーの手によります。
再演ではなく日本初上映です。こんなの上映するのはもちろんユーロスペースです。

美しい音楽の音とともに、太陰年と新月の関係と自殺の因果関係が神秘的にSF的に語られる幕開け。ほんの少しファンタジックでお耽美な作品を予感・・・

次に現れるは、闇夜のアオカン・・ん?
まぐわう相手にしゃぶりつく男、次の瞬間。
あーコイツち◯こねぇ!◯◯◯じゃねえか!
おーいみんなきてくれーコイツさぁ。
暴行を受ける影。
そしてぼろぼろハンケツ状態で家に入ったと思ったら1008日ぶりに帰宅の同棲相手と鉢合わせ。
ズタボロな姿をなじられ、肥ったせいでセイウチと罵倒され、追い縋るもついに同棲相手は出て行ってしまいます。愁嘆場。
ん。ファンタジックでお耽美な物語じゃなかったみたいね。むしろ、リアリズム?

主人公エルヴィラのいく先々で本人をはじめ、出会う人の独白が続きます。
第二次大戦の傷からNATO及び西側諸国の目論見の元、復興から目覚ましい経済成長に移行した西ドイツ社会フランクフルトを舞台に、危うい精神バランスの人々の、ある人は自分を語りある人はエルヴィラがかつてエルヴィンだった時代を語り(このエピソードは考えさせる)、ある人は哲学を語る。

今の情報過多の時代と違い、細かい性の分類なんてわからない人にはわからない時代。
自分がどういった性方向なのかわかってなかったエルヴィンは偶々恋した男の何気ない一言で、あっさり性転換手術をしてしまいます。悪い男に恋した悲劇。
それから幾年。
すっかり中年女になったエルヴィラ。
男が欲しくなると男装をして夜鷹を買いに行きます。
男娼たちはオバさんはお断りみたいです。
エルヴィラは女の格好で男を買うのは惨めだからイヤなのだそうです。
エルヴィラが痛々しいのは、男たちから見たら女服を着たエルヴィラは、女装したおっさん以外の何者でもないこと。でもエルヴィラはそれを理解していない。

身もふたもない俗な意見を言いますと、悲劇の始まりは、肥ったことなのかな。
私的には、エルヴィラは更年期障害を併発した鬱病にかかってたんじゃないかしらん、と勝手な感想。だからブクブク肥っちゃったんだよ。
エルヴィラは性転換する前に結婚し、元妻と娘とは円満な関係。
でも彼らでは寂しさは埋まらない。

エルヴィラの性とエルヴィンの性が混じる。月と太陽の視黄経が等しくなるように。
起こりえるのは惑乱か。性のアイデンティティの混乱が引き起こすものは。

エンディングの歌が全て。
2018年の今。
エルヴィンがエルヴィンとして、エルヴィラがエルヴィラらしく人生を謳歌できる世が来ているだろうか。

PS
最初のエルヴィラの自分語りのシーンは久し振りのグロです。
牛の屠殺解体会社での語り。
本物の臓物と溢れる血。
牛が死ぬ姿をしっかり見せられます。
千切れた首が皮一枚で胴体に繋がったままベルトコンベアーで血を体液を流しながら流れていく様。断面図丸見え。
皮を剥ぐ様子。
「いのちの食べ方」以前の当時の模様が知れて有意義と感じるか、見たくないイヤだと感じるか。
だけど、エルヴィンとエルヴィンが好きだった男の出会いの場がここってところがなんというか。こうゆうのもちょっとゆるいところのあるエルヴィンの精神に影響を与えたのかな。

うーん、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーさんの作品は初見ですが、中々に脳みそをフル回転させます。

(蛇足)
エルヴィラん家、TVリモコンじゃん早!
流石西ドイツだわ。
当時の西ドイツゲーセンも見所。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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