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DEAR WENDY ディア・ウェンディ (2005)

DEAR WENDY

監督
トマス・ヴィンターベア
  • みたいムービー 61
  • みたログ 196

3.26 / 評価:66件

自分の弱さから目を背ける。

  • CONRAD さん
  • 2014年1月18日 0時53分
  • 閲覧数 816
  • 役立ち度 5
    • 総合評価
    • ★★★★★

習い事をする、知識と教養を身につける、体を鍛える、格闘技を習得する。
胸を張って自分らしく生きるために、人はけっこう努力しているのだと思う。
洗練された学識や高度な格闘術をひけらかす舞台は、限られている。
普段は普通の人のように見えても、「実はオレは・・・」みたいな自信を密かに胸に持っていることが、エゴ(自我)を保つ上で大事なことなのかもしれない。
髪型と服装を整え、表情や態度、振る舞いが、人からどう映るのか、研究する。
自分のエゴを外見(ルックス)にも投影させたい。
サングラスをかけて、金髪にして、「これがオレだ!」と主張したい。

情報が飽和した現代社会では、個人や個性が埋没する。
他の人と一緒で、なるべく目立ちたくないという人達を、日本では「草食系」と呼ぶのか。
米国の炭鉱町で育った、何ら特徴もない、ごく普通の青年たち。
ディック(ジェイミー・ベル)は、ふとしたきっかけで、本物の銃を手にする。
その銃に、“ウェンディ”と名前をつける。
「オレは銃を携帯しているんだぞ」という特別感。
誰も知らない、誰にもわからない。
自分だけの秘密が、彼に自信を持たせる。
彼の思考を変えていく。
行動を大胆にしていく。
そして、同じ思想を共有する若者たちだけで、“ダンディーズ”というグループを結成する。
言い知れぬ高揚感が、メンバーを包みこむ。
メンバーたちの規律は、
「銃を携帯していることを誰にも知らせちゃいけない」
もちろん、誰かを撃つなんて、論外であって。
自分の中だけで“ほくそ笑む”もの。
射撃の腕だけを、どんどん上達させていく。


青年たちが個性的で、魅力に溢れた俳優さんばかり。
素晴らしいキャスティング。
ふとしたきっかけで“ダンディーズ”に加わった黒人の不良青年セバスチャン。
不良青年というよりも、普通の感覚を持ち合わせた青年。
セバスチャンは言う。
「怖いから銃を持ってるんだろ?認めろよ」
「お前らは、イカれてるよ」
殺傷能力を持つ、圧倒的な力を、常に携帯する。
想像してみろよ。
もし、ピンチに陥った時に、これを使用すれば・・・
発砲しなくても、
誇示するだけで、
相手は怯むこと請け合いなのである。


直視しかねる己の弱さ。


弱さを認めた上で、力をつければ。
自分の中の悪を認めた上で、善行をおこなえば。
自分を知るということは、
簡単なようで、実に難しい。


ラース・フォン・トリアー脚本作品。
独特の空気が流れます。
映画ファンが好みそうな作品。
流石の傑作です。


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