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ジャーヘッド
2006年2月11日公開

ジャーヘッド

JARHEAD

1232006年2月11日公開

pop********

5.0

この戦争は速すぎる

戦争体験へ新しいアプローチを見せてくれた傑作。訓練、訓練、また訓練......しかし戦場に踏み込めば敵はおらず、でも砲弾は降ってくるし、無残な死体もあるし、誰かが向こうの景色を火の海にしている。自分は戦争をしていないのに、確かに戦場にいる。これほど不気味な戦争映画は他に無い。 今まであった戦争映画というのは「戦闘」にクローズアップした、あまり現実味の無い派手な物だった。やれ「特殊部隊の唯一の生き残り」だの、「地獄の戦場を生き延びた英雄」だのと。そんなの戦争の1パーセントだけ切り取った、我々が想像のつかない浮世離れした話だ。しかし逆に言えば、残りの99パーセントがリアルな戦争体験を与えてくれる。そこはひたすら退屈で、たまにヒヤリとする事があり、悪臭とキツい肉体労働ばかりの世界。 兵隊もヒーローではなく、彼女の写真でマスをかき、上官に生意気な態度を取り、イライラを爆発させて周りに当たり散らす人間だ。主人公を演じるジェイク・ジレンホールは持ち前の演技力でドニーダーコでも不気味な青年を見事に演じていた。馴染みすぎ......普通に兵士のフリー素材で出てきても全く違和感無いよ。 そんな地味で退屈な日常を描く作品だが、劇中の兵士のボヤキでかなり印象に残るものがあった。  「この戦争は速すぎる。900メートル先の敵を倒すのに、ベトナム戦争で1時間、第一次大戦で1年、今じゃ10秒でドカンだ」 第一次大戦や第二次大戦で、兵士は戦争の要だった。しかし、兵器が驚異的な進化を遂げた事で兵士達はだんだんヒマになり、自分の知らない所でボタン一つで確実に、簡単に、大量の敵を殺せるようになっていた。 この兵士達の退屈には裏がある。そんな新しい戦争を静かに見せてくれる作品。

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